Luxury Liner Row
北大西洋横断航路華やかなりし1900-60年、豪華客船は少数の富裕層の人々と多くの移民の乗客を乗せてニューヨーク港を目指し、その豪華さとスピードを競っていました。
NY港とは一般的にはニューヨーク・ニュージャージーの両州にまたがるハドソン川両岸に対峙した多数の埠頭群とその下流のニューヨーク湾全体を指しますが、当時の豪華客船群はマンハッタン西岸の「Luxury Liner Row」と呼ばれたPier 84-94(84-94番埠頭)を最終目的地としていました。
1935年以前は1910年に開業した「Chelsea Piers」と呼ばれる少し手前(河口側)に位置する50-60番台埠頭に着岸していましたが、Queen姉妹やNormandieの7万tクラスの巨船が登場すると埠頭のサイズが不足するようになり、新たに上流にLuxury Liner Rowが整備されてこちらがメイン埠頭になります。
地図で位置をみれば到着した船の下船客にとってNY港入口に立って彼らを迎えてくれる自由の女神とともにこのLuxury Liner Rowがいかに夢の地の入り口と映ったであろうかは想像に難くないでしょう。
ただしChelsea Piersも1950年代までは使用されていました(その後は一時期、廃墟のような姿となりますが)。
両エリアともPier No.の小さい方が河口側、すなわち南に位置しています。
このLuxury Liner RowではフレンチラインのPier 88、キュナードのPier 90が有名でした。両ラインは永らくその埠頭ビルの先端に自社専用埠頭を表すライン名板を誇らしげに掲げていました。
その他の埠頭は年代毎に専有ラインが変更されており、その詳細時期等は不明ですがPier 92は1955年当時まではイタリアンラインが看板を掲げていましたがその後は当ラインのサービス縮小に伴いキュナードの専有埠頭となりイタリアンラインはPier 84に移ります。
Pier 84/86はオランダ、ドイツやスウェーデン等の豪華客船の寄合埠頭として使われていましたが1955-1965年の間、Pier 86はUnited State Lineの専用埠頭に割り当てられた様です。当時空からも見えるように埠頭屋根にまでUnited State Lineと大きな文字で名前が書かれていました。
ただし専有埠頭と言っても他船を締め出すわけではなく、空いていれば他のラインの利用も認められ、ノルマンディーが休んでいるフレンチラインのPier 88にイタリアラインのレックスが入港着岸しようとしている写真もあります。各埠頭両岸壁はハドソン川に対する位置からNorth side/South sideと呼ばれていました。
Pier 86は1982年にEssex級空母五番艦イントレピッドを横付け改造した博物館(Intrepid Sea, Air and Space Museum)になっていますね。
1990-現在にかけてChelser Piersは当時の面影を残しながらリバ-フロントの商業施設に生まれ変わり、Luxury Liner Rowはメガクルーズシップ埠頭と貿易センターへと様変わりして活況を取り戻しています。
えっ?なぜここのエリアの埠頭には偶数しか割り当てられていないかですって?
これが謎で、今調査中です。だれか詳細ご存じの方がいればお教えください。
(*1追記参照)
さて、今回はこのLuxury Liner Rowの埠頭情景用モデルをご紹介しましょう。
この埠頭のモデルとしてはMercatorから1/1250スケ-ルのダイキャスト船に併せ、出来の良いPierモデルが出ていたのですが同社が活動を停止して永い期間が経ち、今ではまず入手は無理と思われます。
SkytrexからもPier86/88/90と54のレジンキャストモデルが出ていました。
当館は仕方なくここから入手しました(ただし残念ながら現在ではこのショップも1/1250スケールのシップモデル類は全く取り扱っていません)。
これらモデルも1/1250スケ-ルで埠頭ビルは一発抜きのレジン注型品で、ホワイトメタル製煙突のパーツが付属するという簡単なものです。
ディテールはなかなかですがMercatorの様に埠頭ビルの側面に張り巡らされているトラス構造体が省略されているのが大きな欠点でした。
このトラス構造はプラ棒等で組み上げていくことも可能ですが作業があまりに煩雑で、なにか代用パーツは無いかと探しながら永らくお蔵入りになっていました。
一年前に埃をかぶったこの埠頭キットが出てきて、そろそろ手を付けないとと思い再び代用パーツの調査を開始したところ写真のようなHOゲージの陸橋モデルを見つけ、この鉄柵が使えそうだと考え、キットを取り寄せて仮組してみたした。
若干支柱間隔のピッチがずれているのですが何とかお手軽代用パーツとしては使えそうです。最後の方で少しピッチやマス目の調整をしてもいいですし(いい加減な性格で)。
一つ一つ、支柱を建てその間に横木を何重にも接いでいくことを考えるともう手がでませんからね。まあ屋根への斜め支柱は自作しないとだめですね。
とは言えまだ踏ん切りが付かず未着手のままですが、まずは塗装から開始する予定です。
2015.08.23 追記
当館にご来場いただいたArcadiaさんからLuxury Liner Rowの埠頭番号について情報をいただきました。
上記マップの如く接続するストリート番号にリンクして決められたとのこと。
確かにそれぞれの一桁目が綺麗に符合していますね。
ありがとうございました。
Pier 86 Kit
Pier 88 Entrance
Pier 88 Kit
Pier 88 Front
Pier 90 Kit
Pier 88 Side-1
改造パーツ
Pier 88 Side-2
改修プラン
Real Pier Photo
(Pier 64)
New York Harbor Tug
ニューヨーク港の裏方ながら立役者、
タグボートです。
NY港ではMoran、McAllister、Meseck等のいくつものタグボート会社が400隻以上のタグボートをオペレートしていました。
当時のLuxury Liner Rowに着岸する大型豪華客船はアジポッドやらバウスラスター等を装備する現在のクルーズ船とは異なり小回りが利きませんから埠頭への安全な着岸には強力な大型タグボートのサポートが必須でした。
なかでも背の高い煙突に白い「M」の頭文字をあしらったMoranのタグボート群が巨船を押している写真を見た方は多いと思います。
写真は1/1250スケールのMoranのHarbor Tugのモデルです。
先のPier Modelと同時期に購入したものでメーカーも覚えていません。
タグボートといってもNY港のものは思いのほか大型です。
現在当館ドッグで改修作業中のP&OのOrcades(同スケール:実長は216m)を押す姿を参考までに載せました。ただこの光景はあくまで仮想ですよ。
Orcadesは豪州航路の定期客船でした。その後クルーズ船に転向しますがこのオレンジの船体でNY港に入港したことはないはずですので。
(ここはユナイテッド・ステーツを出してくるべきだったな.........)
Chelsea Piers No.59
WHITE STAR LINEの専用埠頭であったNo.59埠頭の1/1250レジンキャストモデルです。
これはだいぶ前にネットオークションで塗装済みのものを捨て値に近い価格で入手したものです。
届いたものは水彩画のように薄い刷毛目ばりばりの塗装品でしたので全面的に再塗装し直しました。
着岸しようとしているのが同スケールWHITE STAR LINE「TITANIC」です。意外にもホワイトスターの客船はほとんど持っていませんでした。
もしTITANICがその処女航海で氷山との衝突を免れていれば、自由の女神を望みながら初入港を祝う歓迎船群との併走の中、このPier 59に入っていったはずです。
写真を差し替えました。(2016.03.03)
購入時
改修後
購入時
改修後
購入時
改修後
購入時
Chelsea Piers No.54?56?
Skytrex(Mercator)ダイキャスト製埠頭モデルシリーズの1つです。
SkytrexはNYピアーのレジン製コピ-キット製品とともにこれらMercator製オリジナル品も扱っていました。ズシっと重い出来の良いモデルですが塗装の細かい部分は結構修正しました。
キュナ-ドはChelsea Pier が整備された1910年から上流にLuxury Liner Rowが新設された1935年まで53番から56番を専用埠頭にしていました(55番は計画段階で欠番だったようで54の隣は56番です)。
ただこのモデルは有名な54番なのか56番なのか判りづらいのが欠点。
当時の白黒写真から推定した色合いや看板からすると有名な54番埠頭だと思うのですが、それなら先のWhite Star の専用埠頭だった59番と同じく先端に2つの溜め池状構造のある長い張出しがあったはずです。形だけみれは56番の様にも見えます。
そもそもChelsea Piersは良くわからん。資料写真も少ないし、載ってる写真の説明もみなあやふやで......。
ただPier 54は1954年にドイツ海軍のUボ-トに撃沈され、多数の米国人乗船客が犠牲となったことで米国の大戦参戦の契機となったルシタニア号が最後の船出をした埠頭でした。
またタイタニック号沈没の際に最初に事故現場に駆けつけ、漂流中のボート群と生存者を収容したカルパチア号が急遽NYにとって返し、ホワイトスターの59番埠頭にライフボートだけを下ろして返却した後、54番に再度着岸してタイタニックの生存者達を無事に送り届けたことでも有名です(この点は56番埠頭に下ろしたと記している書籍もあるのですがこの埠頭は1年前の1911年にキュナードが吸収したリバーデイサービスを主業務とするAncer Lineとの共用埠頭になっておりCunard Ancerの看板を掲げていました。
ただし予定外の緊急着岸ですから可能性はゼロではないかもしれません。自身が船長なら一分でも早く陸地に下ろしてやりたいと思えば54番よりも56番という説もありかな?と)。
まあ細かいことは後日にして写真は同スケールのキュナーダーを配置し、ある日のキュナード埠頭の情景を撮ってみました。
埠頭北側に停泊中のアキタニアは良しとして、南側に接岸しようとしているカロニアはいやいや選定ミスでした。時代が合いませんね。カロニアのデビューはChelsea PierからLuxury Liner Rowにキュナ-ドの専用埠頭が移った後でしたから。
そうだ、オリジナルのままのカルパチアはあった。後で撮り直そう。
でもPierの配置もさることながら実際の埠頭建物類の配色はどうだったんでしょう?
Skytrexのこのダイキャストモデルは結構リアルに見えますね。
レジンの59番も塗り直してみますか........
どなたかカラー写真をお持ちの方はいないかな?
先端の艀部角はもう少し丸みがあるんだよな....
撮り直し:カルパチア号到着
Southampton Ocean Liner Pier
White Star LinerやCUNARDERが母港にしていたサザンプトンの客船ターミナルに着岸したSS ユナイテッドステーツ号といったシーンです。見つけた絵葉書を模してユナイテッドステーツを着岸させました。
当時の客船埠頭はターミナル前方や写真向かって奥にも広く桟橋が続ていましたが展示品は未だ桟橋は拡張工事中。
1950年台前半に新造された白亜のターミナル(待合室)部分のみとしてます。
年末のケーブルテレビで名探偵ポアロシリーズの一気見企画を流し観していましたら「消えた100万$債権盗難事件:The Million Dollar Bond Robbery」が........。
この話は処女航海時のRMSクリーンメリー号が主な舞台。本編ではその航海を伝える当時のニュース映画等が多く引用され、クイーンメリーの出航時にこの白亜のサザンプトン客船ターミナルが出てきます。
残念ながらこのターミナル(待合所)は1983年に取り壊されてしまいました。
モデルは10年以上前に入手したTriangのものでのっぺらぼうの中古品。
塗装は剥げだらけ、白い塗膜は黄変気味。旧塗装を剥離剤で完全リムーブして再塗装し直し、スクリーントーンの切り出しで窓等を再現しました。
実際のターミナルは前後2つの棟に分割されており、再現するには最低もう一つ屋根だけの中間ユニットが必要になります。
おもちゃレベルですが今となっては当時のターミナルの姿をそれなりに再現した貴重なモデルです。最近は海外オークションでもほとんど見かけなくなりました。
最近やっと当時の写真を幾つか見つけ、もう少し手を加えるかな?と思案中です。
3つのパーツモデル
海(川)側ターミナル
内地側ターミナル