SS City of Paris
シティーオブパリ
19世紀の英国においてCunard、White Star と共に3大汽船会社として君臨したInman Lineが1888年10月に竣工させたCity of Paris 1万500総トン。
翌年4月の処女航海後すぐに北太平洋航路でブルーリボンを獲得、3年間タイトルを守ります。
当時は姉妹船のCity of New Yorkやホワイトスターのチュートニック等とブルーリボンを争い、一時はリボンを奪還されたものの再び1892から2年間再度ブルーリボンホルダーに返り咲きました。推進装置は2基の三段膨張式レシプロエンジンによる二軸・三枚プロペラ推進(ちょうどタイタニックの中央低圧タービンを無くした構成)で20ノットを出せました。
1893年にInman Lineが財政上の問題からAmerican Lineに吸収され、米国船籍となった船はParisと改名されてAmerican Line の「ビッグ4」として大西洋航路サービスに従事しました。
米西戦争、第一次世界大戦の時期には米国海軍に徴用され軍船として活躍し、戦争終結の度にAmerican LineのPhiladelphiaとして復帰しますが、開戦後4か月で終結した米西戦争から民間定期航路船に復帰後1899年には濃霧の英国コーンウォール沖で座礁し沈没。再浮上後に大改修を受けて2本煙突の姿となって再デビューしています。
第一次世界大戦後の復帰後もまだまだ活躍できる状態でしたが財政上の理由から1923年に売却スクラップになりました。
このモデルについて
アルバトロスの1/1250スケールダイキャストモデルです。
船体塗り分けライン、煙突の1本白ラインのゆがみを修正し、船首と船尾の金飾りをスーパーメタリックゴールドで再塗装しました。マストもクリームイエローからもう少し濃いブラウンに塗り替えました。
デッキ上のボラードや錨の巻き上げチェーン等を黒で、ライフボードの覆いはガルグレーに。
最後に船体両舷の細いホワイトラインをアートラインで追加(少し太すぎましたね)。
後はデッキの塗装を残すのみですが一部タンで塗装がなされています。
この時代ですから全面同一色で問題ないでしょうね。
船首から
船尾から
RMS TITANIC
タイタニック
英国ホワイトスターラインが米国系の財閥資本IMMの傘下に下り、その潤沢な資本によって当時の競争相手だったキュナードラインのルシタニア/モレタニア姉妹に対抗すべく建造を決めたオリンピック級豪華客船2番船のタイタニック 4万6328総tです。
1914年4月10日リバプールからニューヨークに向け出港した処女航海において氷山に接触し、多くの犠牲者と共に大西洋に沈んでいった悲劇の豪華客船として今でも多くの人々の心に残る船です。
3段膨張式レシプロ機関による4万t越えの最後の巨船として23ノットを出せたと言われていますが(その後の定期航路豪華客船はほぼすべて蒸気タービン4基/4軸に移行)ホワイトスターは韋駄天競争よりも内装の豪華さで勝負に出たわけです。
このミュージアムではアシェットの木製モデル、プラモデル群に続いてダイキャストモデルでの登場です。
実はだいぶ前に購入したモデルなのですが船楼部はファンネルとマストを除きすべて純白で、この大きさでのボートデッキ等の塗り分け改修はちょっと無理かなと諦めていました。そんな中、またまた巷にTITANIC2世の建造計画ニュースが流れ、忘れていたこのモデルを思い出し今年のアカデミ-賞授賞式までに作業完了を目指した次第です。
まあこのTAITANIC二世のニュース、映画TITANICのヒットの後、悲劇の処女航海100周年前にも出ては消えていった話題です。
今回も亡国造船所で建造との話でこれもガセというよりは無理だな.........(たぶん)。
おお、取ったかオスカー。おめでとう、デカプリオということで。
このモデルについて
CMKRの1/1250スケールダイキャストモデルです。
最近の同社モデルの定番、全デッキともハウスと同じ純白塗装でした。
しかしながらボートデッキ等の附機類や配管等の造形はよく再現されています(立派、立派)。
惜しい点としてデッキ前・後部の電動クレーンすべてのブームがなぜか起立状態で少し興ざめ.....
まずは船体黒塗装とハウスの白塗装の塗り分けラインが雑なのでここは黄色の0.5㎜マスキングテープを使ってライン修正を実施し、テープ自体を実船に引かていた黄色帯として活用しました。
2本のマストは小豆色系の赤で再塗装し、フォアマストに見張り台を追加設置(これは外せませんねw)。前方のデリックブームは不必要なので引き抜いておきます。
次いでデッキをウッドブラウンで丁寧に塗り分けていきました。
最後に船首附機類を艶消し黒と真鍮色で追加塗装、ウェル甲板のハウス部及び電動クレーン基部の下半分をオレンジ色で塗り分け、通風グリルを赤で塗り替えて完成。
うーん、ファンネルの張線はどうするかな........
改修後
オリジナル
改修後
オリジナル
RMS TITANIC 1/1250
CSC (Classic Ship Collection)
最高級シップモデルとの評判の高いCSCのTITANICです。
幾つかのダメージがあるとのことでとても安価でゲットしました。
オークション写真では全スクリューの紛失、フォアマストの軽微な曲り、手すりの一部が押しつぶされたような変形(欠損なし)といった状況でした。
届いた実物を見ますと手すりの損傷は先のアルバトロスよりも軽微、ウェリンボートダビットの一本が取れてなくなっていました。もともとこのダビッドは細線を曲げただけで実機同様にスイングするように取り付けられているようです
スクリューはラッキーなことに中央の低圧タービン駆動の4枚羽根スクリューが箱の横板の隙間に挟まっていたのを発見。左右一対の3枚羽根スクリューをどこかからか見つけてくればOKです。ちょうどRevellの1/1250スケールQE2フルハルプラモデルのジャンクがありました。これは6枚羽根仕様ですが間引いて3枚ペラ仕様に変換できると踏みました。これを流用しようかと。
フォアマストの再修正と塗装剥がれを再塗装、欠損ボートダビット(一か所)は真鍮線で造り直しが可能と思いますのでネームプレート付きの専用木製台座もついたこのモデル、相当安い買い物でした。
修復が終わりましたら再度お披露目ということに。
3軸ともスクリューがない!
フォアマスト確かに曲がっています
CSC版 TITANIC修復完了
①マストの曲がり修正に塗色の変更
②レール(手摺)の再接着と再塗装
③ボートダビットの整形
④大型通風機群のグリル部塗装
⑤推進プロペラの取付けと再塗装
を済ませ、取り合えず今回の改修完了です。
計画通りジャンクのレベルQEⅡのプラ製スクリューはうまく使えました。
追加で各ファンネル前方の点検ラダーを追加しようと考えエッチングパーツを取り寄せましたがPhoto-etched Plate(1㎜ Rectangles)はちょっとラダー間隔が広すぎて使えませんでした。0.5㎜以下の間隔のものを見つけないと.......
ファンネルの補強張線群を(SS.Gothic同様に)0.2㎜真鍮線で再現するチャレンジも(片側6本で計12本の4煙突分で48本.......いつになるやら)
改修後の船尾:スクリューつきました
改修後の船首
CSC製 TITANICへのディテールアップ
パーツの追加
やっと使えそうなエッチングパーツを見つけました。トムスモデルの1/700Scaleモデル用 エッチングパーツ:梯子(No.PE334)
スケール的にはやや大きめですが写真では使えると踏んで注文。
マストとファンネル前部にこのラダーを追加してみました。
まずは溶剤洗浄後にメタルプライマーを軽く吹いて乾燥後にマストの両サイドの梯子分としては25㎜にカットしたものを4つ切り出します。
また4本のファンネル前面に取り付けるものは15㎜長にカットし、頂部を1㎜程度後方に直角に曲げます。また高さは各ファンネルごとに1~2㎜程度調整して瞬間接着剤で取り付けています。パーツ固定後に筆で薄めの塗料を載せています。
改修第二弾完了後の姿です。
さあ、次はファンネルの固定用張線を再現するかな........
RMS Carpathia
カルパチア
1903年に就航した1万3500tの客船カルパチアです。
キュナードが運航していた中型定期航路船の一隻に過ぎなかったこの船を一躍有名にしたのが海運史上最も有名なあの(上記)タイタニック号処女航海沈没事件でした。
大西洋航路のNY寄りほぼ真ん中で氷山に衝突し、沈没しつつあるタイタニックのSOS(映画ではスミス船長はCQDを打てと言ってますが実際は最新のマルコーニ無線機で新規則のSOS信号を発した初めての客船でした)を受信し、現場に急行して最初に救助活動をした船でした。
時すでに遅くタイタニックは大西洋に沈んだ後でしたが十分に積載されていなかった救命ボートの生存者706名を救出してニューヨーク港に戻りました。
途中で同じく救助に駆け付けた姉妹船オリンピック号に合流し、そのオリンピック号から救助者を引き取る旨の要請を受けますがロストロン船長は遭難者の心情を酌んでこれを拒否。NYまで正規の乗客以上に手厚く扱ったという逸話があります。
この救助活動により船長は米国、英国両政府から最上級の栄誉勲章を受けました。
その6年度カルパチア号はドイツのUボートに撃沈されてしまいましたがカルパチア号の名前はタイタニック号とともに永久に残るでしょう。
このモデルについて
CMKR社の1/1250スケールのダイキャストモデルです。
残念ながらまだ改修作業の順番待ちです。
ただディテールも細かく、塗装部処理も丁寧でデッキ塗装と一部船窓の墨入れで十分でしょう。
後姿
船首部
ブリッジ部
船尾部
船尾部
RMS AQUITANIA
アキタニア
今回はRMS AQUITANA アキタニア。
ブルーリボンを20年近く保持し続けた高速豪華客船、モレタニア3姉妹の末娘です。
当初はモレタニア・ルシタニアの2隻でデビュー。このアキタニアは計画に含まれていませんでした。
モレタニアと2番船ルシタニアも造船所が異なるために細かい部分で船体容姿が異なりますが特にこのアキタニアは全くの別クラス船と言ってもよいほど船容が異なるため姉妹船の無い単独クラス船として扱っている本も多くあります。
当時豪華さで競い合ったWhite Starのオリンピック級の姉妹船と見紛うばかりのこの船はライバル社のオリンピック級に刺激されて強引に3番船として加えたためか、総トン数だけでなく内装の豪華さや船体デザインにもタイタニックの面影がちらつく船です。オリンピック級、特にタイタニックの登場にキュナードも相当衝撃を受けたのではないでしょうか?
ジェームズ・キャメロンの映画「TITANIC」でケイト・ウインスレッド演ずるヒロインのローズが出航前のタイタニックの前でこれから乗船する船の自慢をする婚約者に向かって「(キュナードの)モレタニア号の方が大きいんじゃない」と言い放つ場面がありますがローズの言葉は婚約者への反発としても、まさに当時はそんな雰囲気があったのでしょう。
米国の財閥資本に買収され、その潤沢な資金で大型船を次々と建造するWhite Starに対して生粋の英国船会社であるキュナードへの擁護という雰囲気もあったのでしょう。
このモデルについて
入手したモデルはTri Ang社の1/1250スケールダイキャスト製です。
写真で見る限り(この会社のモデルはやはりおもちゃ的)出来はさておき、パーツ類はすべて残っている状況のほぼ完品。マスト類は若干歪んでいましたがこれも修正出来るだろうと。
しかしながら届いたモデルのマスト類は欠損はないものの柔らかいプラ製で、伸ばして治る代物でありませんでした。最後の手段の湯煎処理をしても長年の変形歪は修復できず、使用を断念。
気を取り直しての修復決行です。
1)まずはいつも通り住宅洗剤と柔らか目の歯ブラシで長年の垢を落としてやります。
2)乾燥後、船体と上部ハウスの塗り分けラインの修正。
3)デッキフロアーをタンで塗り分け。
4)メインマスト類をウォーターラインのプラモ新田丸から流用。まず形を修正しオリ
ジナルパーツについていた監視ゴンドラを切り離して接着。横木等は0.4mm径の真
鍮線で追加しました。
5)クレーンブームも同じ径の真鍮線で4本切り出します。
その前にアキタニアの特徴である背の高い2本の通風管をつなぐ橋渡し部分を足した
H型のクレーンブーム固定装置をジャンクパーツで新造し、取り付けてから真鍮線
のクレーンブームを置きました。
6)船窓の墨入れ(プロムナードデッキの窓処理がほんとタイタニックに似てるな~)
7)再現されていないブリッジや船体後部のオープンデッキハウス構造を スクリーン
トーンで再現。採寸カッティングして貼り付けることでのっぺらな壁面にデッキの
支柱構造を再現しました。
8)ブリッジ上部のアンテナや左右の方向灯ブーム?、タイタニックを彷彿させる船首
の予備錨運搬用クレーン類の微細なパーツを新造、またはジャンクパーツで追加。
9)最後の4本ファンネルの前部蒸気配管を模した真鍮線を取り付けてしてとりあえず修
復を完了としました。
(この後にCMKR社の出来の良いモデルも手に入ったので追加ご紹介しておきます)
オリジナル品
後姿
改修後の船首
改修後の船尾
AQUITANIA CMKR製
このCMKR社のモデルはブリッジ下部や船尾のハウス構造、ライフボートやキュナードファンネルがきちんと再現されています。
あとはデッキの塗装や船窓の墨入れ、船首のH型通気管を修正し直せばもっと良くなるでしょう。
ただおもちゃモデルのTri Angでもちょっと手を入れれば結構見栄えも良くなるでしょう?価格が5-10倍違いますからね。
後姿
船首
船尾
並べると....
CMKR AQUITANIA改修完了
デッキ塗装に加えて船首デリックブームの固定を目的としたH型通気菅の横ビームの追加とともに両舷側に並ぶライフボートのダビッドアームの欠損部を修正してあります。金型が古いのか幾つかのアーム部がつぶれていたり欠損した状態でした。使用したのは0.4㎜径の真鍮線。
喫水上の白線が太めなのでこれも修正しました。
最後にキュナードレッドのファンネルも塗色を少し暗めに変更するとともに三本枠も黒で塗装して完了です。
とにかくこの船、船尾のハウス構造が結構複雑で今迄でデッキ塗装に一番苦労させられました。
またあのTITANIC遭難直後に就航した同規模巨船ゆえに邪魔なくらいデッキに所狭しとライフボートが並べられていてこれまたデッキ塗装のネックでした。
乗船客にはデッキ両舷に救命ボートの壁が張り巡らされている様に見えたことでしょう。当時は圧迫感よりも安心感が勝っていたんでしょうね。
TITANICも搭載していたライフボードダビッドの仕様通りに少なくとも全数二段積みでボートを載せていれば................。
船尾より
船首周り
ダビットアームの補修
船尾のデッキ構造
RMS QUEEN MARY(QM)
クイーンメリー 初代
Cunard LineのQUEEN MARY(初代)
8万0774総tです。
1936年の就航時、世界最大の客船でした。
オイローパやブレーメンといった当時のドイツの大型客船(#5展示室で展示中)に対抗すべく計画された本船の建造も世界大戦勃発やキュナードの建造資金繰りの悪化ですんなりと進んだわけではありません。
やはり経営不振にあえいでいたホワイトスターラインとの合併を条件に英国政府が本船ともう一隻の計画船(これがQueen Erizabethです)までの資金援助を確約したことで実現しました。
就航後は 太西洋横断速度記録更新船に与えられるブルーリボンホルダーとなるべく、宿敵フレンチラインのノルマンディーとの熾烈な争いを演じ、英国客船の意地を見せましたが彼女もジェット旅客機には勝てませんでした。
しかしながら同じ運命をたどった往年の太西洋定期航路豪華客船群の中では特段に幸せな余生を過ごせた船でしょう。ポセイドンアドベンチャーの舞台となったのは有名ですし、現在もロングビーチで浮かぶホテル/博物館として静かな余生を送っています。
このモデルについて
香港のTri-ang HORNBYの1/1200スケールダイキャストモデル。
このモデルはどちらかというとコレクターアイテムというよりは子供用のおもちゃの部類です。
発売当時は日本でも2000円前後で手に入ったものです。
懐かしくeBAYで3000円ちょっとで落札しました。船体の塗装の剥げはさほどではありませんでしたが、フォアマスト(客船の場合はメインマスト?)こそ残っていましたがクレーンブームはなく、後部のミンズマストは折損紛失状態。加えてファンネルのキュナードレッドの塗装はシールで再現されていたものが長年の経年変化でボロボロに。
オーシャンライナーモデルのディテールアッププログラムの第一隻目でもあったこのアイテムは
以下の修理改修が必要でした。
1)船体塗装の剥がれの修復。
2)船側の窓の墨入れ。
3)船体と上部ハウスの塗り分けラインの修正。
4)メインマストのクレーンブームの追加と塗装。
5)ミンズマストの追加・塗装。
6)ハウス前部とブリッジ(操舵室)窓の追加:Screen Toneを活用。
(窓の数が少ないって?まあそれらしく見えればね)
7)ファンネルの塗装:キュナードレッドの塗装と0.4mmのグラフィックテープ(黒)
による3本ラインの追加。
8)救命艇の上部の塗装。
あとはもう少しデッキの塗り分け追加塗装も考えましたが、しつこくなるかな?と思い、当初のままに(手抜きだって?-沈黙-)。
後姿
船体中央部
QUEEN MARY CMKR製
つい最近手に入れた新品のCMKR製
RMS Queen Maryです。
こちらは1/1250スケールです。
やはりブリッジ周りの独特なハウス構造やライフボート等がきちんと再現されています。
後姿
ブリッジ周り
後部デッキ
船尾
CMKR QUEEN MARY
改修塗装完了
長く展示棚の中で購入時のままの姿で係船状態だった同船もやっと塗装改修が完了しました。
基本はデッキ類の塗装ですが船体のシアーライン、喫水付近のホワイトラインの修正(今回はアートラインテープではなく塗装でチャレンジです)からスタートしました。
フォアマストのデリックブームの位置修正に加え、ミズンマスト上部の防煙塗装やヤード類の追加、デッキの窓天井処理も追加しています。
船窓は繊細で深めなモールドできれいに並んでいるモデルですのでこのままとしました。
船首から望む
デッキを俯瞰で
船尾から
RMS MoretaniaⅡ
モーリタニアⅡ
キュナードが国策によりホワイトスターと合弁していた1938年6月に竣工させた2代目モレタニア 3万5655総tです。
造船所はCammell Laird 。
前後して就航したQueens姉妹に挟まれて少し影の薄い存在の同船ですが、本国ではあのブルーリボンフォルダーである初代モ-リタニアの名を継ぐ豪華客船としてデビューしています。
その姿は同社が同時期に計画・デビューさせた当時世界最大の豪華船客船Queen Elizabethと見紛う様な船体デザイン。
内装もしかり(若干簡素化がされてはいましたが)まるでそのままQEを中型船に縮小したかのようです(でもこのモーリタニアのほうが均整がとれていますけどね)。
やはり当時はQEの従妹と呼ばれていたそうで........。
1939年6月の処女航海後にQEとともに大西洋横断航路に就航しますがその期間はとても短く、きな臭さが増す世界情勢下の8月11日の航海では軽武装を施してNYに向かったのを最後に、翌9月の第二次世界大戦開戦とともに同社のQE、QM、フレンチラインのノルマンディーとともにNY港に一時係船されます。
Pier90にQE、QMが並び、Pier88にはノルマンディーが、その奥のPiea86にこのモーリタニアが停泊している1940年3月頃の写真は有名ですね。
英国政府は係船の数か月後にこのモレタニア、クイーン姉妹の徴用を決め、モレタニアは一足早く他の英国客船群とともに豪州からの兵員輸送に活躍しました。
終戦後、本船も正規の大西洋定期航路サービスに復帰しますが、同船の人気は芳しくなくキュナードは本船へのテコ入れを模索します。
その後1960年代初頭からの定期航路サービス衰退の影が忍び寄り多くの名船達が整理・廃船となる中で本船はなんとか生き残ります。大西洋横断定期航路時代の1957年の定期メンテナンス時に船内にエアコンディショニングが追加され中型船という船体規模も味方となって当時の業界が生き残りをかけたクルーズサービスへの転向策に乗ることができました。
オーシャンライナー時代にも大西洋が荒れる冬季にはカリブ海クルーズ等に駆り出されていた本船は1962年に同社の僚船カロニア同様、船体を灰緑色に塗り替えられて新たにニューヨークを起点とする本格的な地中海クルーズサービスを開始します。
しかしこのクルーズ専用船サービスもイタリアラインのレオナルド・ダ・ビンチを筆頭とするよりモダンなクルーズ船隊との競争には敵わず、たった2年で幕を閉じてしまい結局1966年にはスクラップへ。
レオナルドダビンチもそうでしたがこのモレタニアもクルーズ専用船時代の明るい船体色よりも黒と白のシックな定期航路客船時代の姿が断然にきまっていた船だったと思うのですが。
このモデルについて
CMKR社の1/1250 Scaleのダイキャストモデル。
出来はよいモデルです。ただ船体に施された白と黒の塗り分けライン(シアーライン)のゆがみや喫水線上のホワイトのラインが雑でしたのでまずはこれらのライン見切りを修正します。
真っ白なデッキは同船の写真(意外と少ない!)を参考にデッキタンとライトブラウンで塗装。
船首のアンカークレーンを追加、前後のマストに追加し、後部マストの上部を黒つや消し黒でファンネルからの排煙対策塗装を追加しました。
船体前後のデリックブーム類は広げ、船首メインマストのブームは水平にしています。
オリジナル品を船首より
改修品を船首より
オリジナル品を船尾より
改修品を船尾より
塗装ラインは修正へ
Queen Elizabeth(QE)
クイーンエリザベス 初代
ご存知のとおり、初代Queen Mary(QM)と共に政府の援助を受け大西洋横断定期航路向けに建造したCUNARD自慢の2大巨船でした。
当時最大の総トン数(8万3673t)を誇ったこの巨船は2300人弱の旅客を乗せ29ノットの速度でタイタニックと同じサウザンプトンとニューヨークを結んでいましたがブルーリボンホルダーには名を連ねていません。
あまり華やかな話も聞かず、個人的にクラシカルな船体デザインの太西洋定期航路豪華客船最後の一隻と位置づけていました。今まで個人的にもあまり興味のない船でしたが、入手したダイキャストモデルに手を加えていくと、結構味のある船体に見えてきます。
ただあまりの巨体を無駄に使っている(よく言えばゆとり)ようにも感じます。
写真集を見ていても船内の豪華さに比べて外観の一部ともいえるデッキがあまりに閑散として見えるのはなぜでしょう?。
今のクルーズ巨船を見慣れた目にはプールだ、ジャグジーだ、屋外シアターだと所せましとレジャー施設を満載した活気(悪く言えばごちゃごちゃ感)が無いのです。
もともと定期航路船とクルーズ船を比較すること自体が大間違いなのですが、CUNARDは最新のフラグシップクルーズ船QM2でもこの過ちを犯している様な気がします(この話は後のQM2のモデル展示の時にでも)。
定期航路船は2地点をいかに早く快適に結ぶかが命ですからスピード、船内設備の良さは重要ですが戸外のレジャー施設は必要かといえばその重要性は低いでしょう。
荒れることで有名な大西洋上を高速で横断しているときに外で日光浴というのも当時の社会通念やマナー感もあって無駄といえば無駄ですし、当時の船はプールは室内というのが定番でした。階級制/等級制の存在も見逃せません。
この船は正統なオーシャンライナーでしたからその巨体ゆえに空間的なゆとりが逆に殺風景につながっているのかもしれません。
このQEもやはり航空輸送時代の幕開けには勝てずリタイアを余儀なくされ、QE2にそのバトンを渡して身売りされていきましたが最後の転売先が計画した洋上大学船The Seawise Universityへの改修工事中に大火災を起こし、そのまま香港のビクトリアハーバーに鎮火後着底、2年も放置された後に解体されました。
当時この火災は保険金絡みの偽装火災とのうわさもたった様ですが往年の豪華客船の末路にはこの手の話が多いのが本当に残念です。
このキットについて
TriAngの1/1200のダイキャストモデルです。
船体前後の2本のマスト折損以外は大きなダメージはありませんでしたが、掲載済みのQMモデルと同様に船首ブリッジの左右の支柱による吹き抜け構造が再現されていないのが外観上の欠点ではあります。ボートデッキの造りもいかにもおもちゃ的ですがQEのイメージは良く出てます。
主な改修点は以下の通り。
1)船体の微小な剥げの修復船体
2)船体の塗りわけラインの修正)
3)板の追加塗りわけ
4)マストの追加と前部マストのクレーンブームの追加及び塗装
(氷川丸/新田丸パーツにて)
5)船側船窓の墨入れブリッジとキャビン前部の窓の追加:スクリーントーンによる
6)ライフボート上部の塗りわけ
後姿
デッキ俯瞰
QUEEN ELIZABETH CMKR製
Queen Mary同様につい最近手に入れた新品のCMKR製RMS Queen Elizabethです。
こちらは1/1250スケール。
船首のブリッジ周りや後部デッキの操船ブリッジ回りの独特な構造やボートデッキもきちんと再現されています。
船体に施された船窓の彫も深く出来の良いモデルです。
残念ながらまだ手つかずのままです。
2020.02.24 追記
本船はやっと船体塗装改修に向けドック入りしました。
まずは船体塗分けラインの修正作業途中の写真と入れ替えました。
CMKR版Queen Elizabeth改修完了
2020.03.11
デッキや附器類の塗装も完了しましたので写真を入れ替えました。
プロムナードデッキの窓等は本当にモールドの切れがよいのであえて墨入れをして汚すのを避けました。
オリジナルモデルの後姿
2020年改修完了版
デッキの塗分け
RMS Caronia
カロニア
ライトグリーンの船体、その中央に大きな一本のキュナードファンネルを配した本船はキュナードライナー(当時はキュナード・ホワイトスターラインでした)としては異色の一隻だったRMS Caronia:カロニアです。
名付け親は当時まだプリンセスだったQEⅡ世。
船体色からGreen Goddessと呼ばれ親しまれてきた本船はあのQE2船内で催されていた船内ガイドツアーのコースに点在するキュナーダーの大きなモデル群のひとつとしても有名です。
1947年10月に就航した3万4000t強の本船はキュナード最初の大西洋定期航路とクルーズの両用に設計された船でした。そのため他の船と一線を科すために全く新しい船体色の明るいライトグリーンに決められたといわれています。
キュナードは自社のライナーに大英帝国の誇りというか、大西洋航路黄金時代の栄光の名残りともいうべき階級制とサザンプトン~ニュヨーク間を4ー5日で走破できる船速に固執する傾向がありました。最新のQM2ではさすがに船内は原則モノクラス制ですがレストランには2階級制を持ち込んだ位です。
カロニアも定期航路サービス中は2階級制を敷き、クルーズサービス時は2等船室(さすがにツーリストクラスと呼んでいましたが)を使わないというシステムを採用しました。この方法はクルーズ専用船ではない他社の船でもよく使われた手法です。
1967年までキュナードでサービスを続けていた本船も翌年Star Shipping Lineに移籍しColumbiaと名付けられましたがすぐに同系列のStar
Lineに移籍してCaribiaと再改名してサービス再開のための改修をうけます。ただ老朽化は否めなかったのか2度目の航海中に機関室で爆発を起こし損傷。かろうじてニューヨーク港にたどり着いたものの、結局二度と航海に出ることはありませんでした。
最後は廃船売却された台湾のスクラップヤードに向け曳航中、グアムのアプラ港沖で大型台風に遭遇。その台風の只中で牽引船は自らの安全のために曳航ロープを切らざるを得ない状況に追い込まれ、コントロールを失った彼女は漂流しながら浅瀬の岩礁で座礁してしまい、結局その地で解体されました。
このモデルについて
入手モデルはCMKR社の1/1250スケールダイキャスト製です。
マスト類の小物が充実し、船窓等の彫りも深く墨入れの必要がないほどの出来ですがいつものようにデッキの塗り分けは皆無。
キュナードファンネルの三本黒ラインも未塗装で全面赤一色。
さすがに船体は綺麗なライトグリーンで塗られているものの喫水線のホワイトラインが太く、雑であったため結局各デッキの塗り分けと共に船体も再塗装しました。
もう少しこのライトグリーンは灰白色を入れておくべきだったかな?
後は船首の小型クレーン(錨用:タイタニックにも在る奴)と船尾のポールを0.2mmの真鍮線で新設してあります。
改修前オリジナル
改修後船首から
改修後船尾から
QUEEN Elizabeth 2
クイーンエリザベス2
今日は自国造船所で建造された7万t級最後の英国客船であり(建造時は65000t級)、世界一の豪華客船の名声をほしいままにしたキュナードラインのQUEEN ELIZABETH Ⅱ。
この船の生い立ちは初めから幸運であったと言わざるを得ません。
本船の建造計画はQueen Mary / Queen Elizabethに続く大西洋定期航路向けの大型客船建造計画「Project Q3」(1960年)に遡ります。
この計画は英国の威信をかけた自国製7万t級の巨船建造計画で、国内4つの老舗造船所に設計・見積もりが打診されたのですがその一次審査で一部に設計仕様違反が指摘されるドタバタ劇が起きて仕切り直しとなりました。
当時ライバル国フランスではやはり国の威信をかけたフレンチラインのSS FRANCEが完成間近でしたが、このQ3計画は船価の再見積もりに手間取る間に当時代頭著しい航空旅客サービスの脅威を切実に感じたキュナード自身が大西洋横断航路専用船としての建造を断念してしまいます。このまま定期航路用の豪華巨船として建造されていたら本船QEⅡもその他の船やライバル船フランスの二の前になっていたことでしょう。
その後計画は練り直され、基本仕様として大西洋を4日で横断する高速性能を残しつつパナマックス型(パナマ運河を通過できる船幅規制したものをいいます)のクルーズ船としましたが、クルーズ船の主流である完全モノクラス制は採用せずに世界の上流階級をターゲットとした高級志向のクルーズ船としたことも大衆化に邁進する他のクルーズ巨船群とは一線を画したことが憧れの豪華客船としての名声を保ち続けられた理由なのかもしれません。
キュナード社創立125周年の1965年に起工され、世界の定期航路船サービスにとどめをさしたBoeing747の初飛行の年(1969)に竣工・処女航海となったのも面白いめぐり合わせでしょう。
72年のクルーズ中における爆弾テロは英国特務部隊の活躍でなんとか未遂に終わり、74年の大西洋上での原因不明のエンジントラブル(ボイラー故障)による漂流事件もその場所がバミューダトライアングルの近くだったので大騒ぎになったものです。
その後もフォークランド紛争への徴用と無傷帰還、大西洋で遭遇した巨大波による船首損傷進水騒ぎ(一歩間違えばポセイドンアドベンチャー!)と話題にことかかない船でしたが、その都度生まれついての強運でその難関を乗り越え、次のQueen Mary2にキュナードのフラッグシップの座を受け渡して今に至っています。
ドバイ湾で浮かぶホテル/博物館として余生を送る予定でしたが未だドバイに係船のまま去就が保留状態とのことですが横浜の氷川丸のように生き延びてもらいたいものです。
こののモデルについて
CMKR社製 1/1250スケールのダイキャストモデル
艦橋後ろのスポーツデッキをつぶしてユニット構造のプライベートテラス付きの最上級スイートルームの増設と推進器の交換に伴うファンネルの交換を施された最終改修状態を再現。
オリジナルのモデルに対して次の改修を施してあります。
1)ファンネル下の機械室グリルへの墨入れと後部の隙間の再現
2)衛星通信ドームの塗り直し
3)レーダーマストの基部のブラック塗装とレーダーマスト背面のライン再現
4)最前部の緊急ライフボートをまずレッドに
5)最後部の大型ボートを追加塗装でそれなりに
6)船体(白黒)塗り分けラインの修正
7)Revelの同スケールのプラモデルのデカールを流用し、船名及び喫水線部の
ホワイトラインの追加再現(これはお薦め。お大幅に見栄えが変わる)。
レッドの社名は施されているが字体が不鮮明なのでこれも削って、先のデカール
から流用。
8)ブリッジの前面ガラスの塗り直し再現(ブラックで全面塗り潰す)
9)左右の船窓の墨入れ
10)前部のクレーンデッキと最後部デッキに追加の組クレーンを追加。
QE2の再塗装改修実施
太いキュナードカラーのファンネルに換装した後の本船のデッキ塗装パターンの変遷からみると、このCMKRのモデルは修正が必要なことがわかりました。
まずブリッジの屋根上の緑の塗装はファンネルが初期の細い白黒時代まで。
確かにドライドックにて中速ディ-ゼルエレクトリック推進機関への換装とそれに伴うファンネルの交換工事中においては一時期緑のままでした。
その後はブリッジ後部のペントハウス屋根を含め純白に。よって最初から塗装されているペントハウス屋上のグレー塗装までを塗り直しています。
船首デッキもライトグレーに近いデッキ色で塗装がなされていたようですのでここは追加塗装します。
ボートデッキやリドデッキ床等は都度グレーから緑そしてライトブラウンへと変遷していた様です(太陽光の関係なのか、撮影時期によるのか写真でも判然としないサンデッキやスポーツデッキの色バリエーションもあるようで......)。
後はサンデッキ等にデッキチェアーを模したシールを並べて完成としました。
QUEEN Elizabeth2(就航当時)
今回は順序が逆になりましたが前回ご紹介したQE2の就航時姿のモデルです。
船首操舵室後ろの高級ペントハウスがまだ増設されていない点とファンネルがCUNARDファンネル(赤に黒の3本ライン)ではない純白と黒のスリムタイプであるのがわかります。
このモデルについて
HANSA社製 1/1250スケールのダイキャストモデル。
このメーカーのモデルにしてはデッキが塗り分けられていますが以下の追加加工を施しました。
1)デッキとデッキ上のハウス/構造物との塗り分けが少し雑なので全体的に塗装の被り
箇所を修正しました。
2)船体の黒とハウス部の白の塗り分けラインが船体後部に向けて下がるように歪んで
いるのでこれを修正しました。
3)マスト、ファンネルの背後の黒い凸部ライン(構造物本体色)が塗り分けられてい
ないので墨入れし、併せてファンネル下の機械室グリルも黒を入れました
(写真2枚目)。
4) 船体両舷の窓は凸モールドで再現されているのですが、塗り分けられていません
(写真3枚目)。凹モールドより実感がありませんが塗り分けもしやすく、塗装後
の質感も逆にきれいに仕上がったような?
5)後部プールデッキ両サイドの防風壁の窓部が開口していないのでMAXSONの
スクリーントーンを使ってスリット上開口部を表現しました。
こちらも後部リドデッキ等にデッキチェアを並べてみました。
ハンザのこのモデル、デッキ塗装は実船をよくリサーチしていたことがわかりますね。
MS Sagafjord
サガフィヨルド
1965年Norwegian America Lineの豪華客船として就航し、準姉妹船Vistafyord:ヴィスタフィヨルドとともにファイブスタープラスの評価をほしいままにした船です。
船歴を終えるまでにSagafjord、Gripsholm、Onward、Saga Roseと4回船名を変え、Cunard戦隊に属していた時期も長かった船でした。
写真はこのファンネルをキュナードレッドに塗り替えられたキュナード時代のサガフィヨルド(1983-1996)、245474総t。
2009年までサガクルーズのSagaRoseとして良き時代の豪華客船ファンの熱烈な支持を集めていました。
船体色は気品のあるロイヤルブルーへ、ファンネルもイエローに変更されてハウスのトップデッキに高級スウィートデッキを載せる形で新設して総トン数も2万4545tに。このサガローズ時代の船容のモデルの写真も載せておきます。
2010年に中国でスクラップになりましたが気品と上品さが漂う船内内装と最高級のサービスでファンの多かった名船です。
このモデルについて
Merkator製の1/1250スケールのダイキャストモデル。
Merkatorのものは一般的にみな出来が良いのですが、このモデルは特に上位に入ると思います。
デッキの塗装もきちんとなされているので手を加えたのはブリッジ周りの船窓と船側の彫りの浅い丸窓の墨入れ、一部の塗装ラインの乱れを修正したくらいです。
尚、Saga Roseのモデルはレジン製でHM-427aWと書かれていますので今はなきHein Muck製のモデルと思われます。
Sagafjord
Sagarose
Sagarose
MS Vistafjord
ビスタフィヨルド/カロニア
一方、1972年と少し遅れて姉のサガフィヨルドとは異なるイギリスの造船所にて建造、就航したVistafjordも同じく1999年にCunardに移籍し、前々回紹介したCaronia:カロニアの名を引き継いでいます(1999-2003年)。
ただし船体はGreen Goddessと呼ばれた薄緑ではなくフラットブラックに塗りかえられ、遠目ではまるでQE2と見間違う様な姿でした。
写真はサガフィヨルド同様にキュナード時代の初期の姿と思われます。
2004年にサガクルーズに移籍し、Saga Ruby:サガルビーと改名。
Saga Roseと同じロイヤルブルーの船体に黄色のファンネルの出立になりました。
こちらのサガルビーはサガローズ引退後、唯一の大洋横断定期航路の豪華客船として2014年までクルーズサービスを継続していますが2014年にシンガポールの会社に売却され浮かぶホテルへの転用が計画されているとのことですが現状不明です。
後ろ姿
船首部
船体中央部
船尾部
MV SEA GODDESSⅡ
シーゴッデスⅡ
1985年にSea Goddess Cruisesがその前年に就航させたSEA GODDESSⅠに続いて就航させた小型エクスプローラー/ラグジュアリー
クルーズ船です。
造船所は砕氷船建造で有名なフィンランドのWärtsilä Corporation 。
5000t未満の小型船ながらこのSea
Goddessシリーズのコンセプトはメガクルーズシップ全盛時代の現在でも確固たる需要を持ち、クルーズファンのみならず知的好奇心の旺盛な人々の要求に応えています。
喫水を浅くした小型船に数隻のゾディアック(大型のゴムボート)を搭載し、大型クルーズ船が入れない海域に直接立ち寄りながらさらなる奥地まで探検を可能にする広域行動性に加えて高性能の通信設備を搭載して現世を離れた秘境探索を満喫しながらも必要な時には現世にアクセスできる利便性を兼ね備えた船というコンセプトは根強い需要に支えられています。
このSea Goddessの特徴は船尾に設けられたマリンデッキ。スキューバー、ウインドサーフィンといったマリンスポーツを満喫できるように水辺へのアクセスを容易にしているところでしょう。
SEE GODDESSⅡ
完成・就役 :1995年
処女航海
総t数 :4253総t
船体長 :105m
船体幅 :15m
このモデルについて
木製ベースにねじ止め、接着固定された厚い硬質アクリル樹脂のケース内に封入されているのでメ-カ-はわかりませんでしたが細かいところまでよくできています。
ケ-ス自体も自作なのではないかと思います。
ネームプレートをピカール金属磨きで軽く拭いてやりました。
後姿
自作ケ-ス?とネームプレート
MV/RMS QUEEN MARY 2
クイーンメリー2
皆さんご存知のとおり引退した先代のQE2の跡を継ぎキュナードのフラッグシップとして活躍する同社最大のクルーズ船クイーンメリー2です。
2003年の竣工当時は世界最大の船長345m・総トン数10万48528トンを誇っていました。
今ではあまりに有名な船ですから解説はここまでにして入手したモデルの解説に。
モデルはCMKRの1/1250スケールのダイキャスト製です。
実船が巨大ですからそのモデルもデカイ・重い。
実船通り両舷にはずらっとバルコニー付きオーシャンビューコンパートメントが並んでいます。オリジナルの塗装は船首がライトガルグレーで塗られている以外はファンネル周りとライフボート上部が見慣れない黄色で塗装されている位で、上部ハウス構造とデッキはほとんど真っ白です。
さてさて、同船の横浜入港時に報道ヘリが撮影した上空からのビデオ映像を参考にデッキの色をほぼ割り出して塗装を開始。
特に船首のブリッジとハウス部左右の張り出しに施されているこの船の特徴的なブラックストライプがこのモデルにはないのでこれもアートテープでマスキングしながら塗装します。
ライフボート上部はオレンジ・レッドで塗装を修正しました。
後部のサンデッキはマホガニー仕様としましたが、特に船体が大きいのでただ塗装しただけでは間が抜けます。ここは1mm幅の白のアートテープをカラフルに塗り分けて、適度な長さで貼り付け、サンチェアーの列を模してみました。
こうしてみるとやっぱり専門家が指摘するように本船はクルーズシップとしてのアウトドアデッキスペース、特に欧米人が好むリドスペースが狭すぎることが良くわかります。
まあ本船の売りが良くも悪くも経済性を兼ね備えた韋駄天の走りです。ガスタービンとディーゼルエレクトリックの併用機関と4基の電動アジポット、その外側の2基は360度回転する機構を有するためメガシップの割に小回りも効く推進システムを搭載しています。そのために操船蛇も装備していません。
この足回りのキーとなるガスタービンをファンネル直下の大型防音ハウスに収納したため客室の静寂性には大きく寄与しましたが、最上階のオープンデッキのスペースを大きく減じることになっています。QE2の船体デザインを多分に取り入れているため両船ともに似たようなサンデッキスペースの欠如を招いてしまったようです。
QE2は定期航路サービスも重要なサービスとして提供していましたから致し方ないとしてもQM2は純粋なクルーズ船としてデビューしました。ここに古き良き時代の太洋横断航路船のテイストを付加したところに船内外レイアウトの難しさが付いて回ったようです。
まあキュナードはカリブ海や地中海クルーズのサービスに疎いというか大西洋航路横断クルーズではあまり重要なスペースではないという考え方が昔からあるのでしょう。荒波対策からプロムナードデッキも完全クローズ構造です。
太洋の荒波や強風下で波飛沫を浴びながらオープンデッキで日焼けするか?という疑問も確かに正論ではありますが欧米のゲストは日焼けやアウトドア好きだし.......。
やっぱりターゲット層が違うという発想なんでしょうか?
写真を更新しました。
2020.02.16 追記
このモデルにはアウトサイドのバルコニー付きオーシャンビューコンパートメントテラスにスモークグラスの柵がついていません。
これを0.4㎜のブラックアートラインテープを張り付けて再現してみました。
貼り付けるだけで以外に外観が締まります。
オリジナルモデル
改修後(2020年ver)
改修後(2020年Ver)
MS Queen Victoria
クイーンビクトリア
カーニバルの軍門に下ってしまった
老舗キュナードの新鋭クルーズ船
「MS QUEEN VICTORIA:クイーンビクトリア」です。
この船は基本的には同じくカーニバルの傘下であるHAL:ホランド・アメリカラインのZuiderdam:ザイデルダム級(HALではVista級と呼称)を踏襲しています。
キュナードのオリジナルプランにて建造された姉に当たるQueen Mary2と供にキュナードのクルーズサービスを背負って立つ存在となった本船はQE2の引退に伴い新たに親会社となったカーニバルがその代船として急遽建造を決定した船でした。
カーニバルでは当時すでにVista級の一隻が建造途中でしたが、QE2の豪華さを踏襲させるためにはこのVista級では役不足として新たな新造船の建造を決断。本来クイーンヴィクトリアとなるべきこの建造中のVista級船は急遽同じ傘下のP&Oクルーズ向けArcadia:アルカディアとして完成させました。よってQueen VictoriaはVista クラス(Zaiderdam級:8万2000t)よりやや大きい9万総tとなっています。
近頃ではこのように同一の船体に各オペレーター(運行会社)特有のデザインファンネルを載せ、されにレーダーマスト周辺だけが異なる(無論船内設備やレイアウト等は各社毎の特色を持たせています)船が多くなってきました。
まあメガシップ一隻の建造コストを考えればこのような共通化は(2隻同時に注文すると1隻半の価格で作りますよ的な......)やむを得ないのかもしれません。
このモデルについて
モデルはCMKRの1/1250スケールメタルモデル。近年の同社の最新モデルはみな出来がよいのでほとんど手を加える必要はないでしょう。
ただ最近はデッキの塗り分けがほとんどされていないものが多く、手を加えないとただの白黒の巨船です(入手時のオリジナルモデル写真参照)。
船体側面はオーシャンビューのベランダ付きキャビンコンパートメントが所狭しと並んでいるのであえて墨入れは不要でしょう。
その他、ブリッジの窓を黒で墨入れし、次いでその上部のラウンジとプロムナードに張り巡らされたブルーガラスをブルーで墨入れするときりっと船体が引き締まると思います。
またこのモデルもライフボートのトップがイエローの強いオレンジでしたのでキュナードレッドに塗り替えました。
あとは喫水線の白ラインが雑でしたのでここは1mm幅のグラフィックテープ張りで再現しました。
最後に船体の黒塗装の塗り分けラインの微妙なブレを補正すれば結構船体が映えると思いますのでお試しあれ。
2020.02.20追記
後に掲載しているP&OのAlcadiaとほぼ同じ船体ディテールが施されたモデルのため、アウトサイドのコンパートメントテラスのグラスガード(柵)のモールドがあります。これらを追加塗装すると共に後はサンデッキやプールデッキ周りを追加塗装しています。
オリジナルモデル
改修版(2020年版)
オリジナルモデル
改修版(2020年版)
SS Orcades
オーカデス
英国の老舗船会社Orient Line(Orient Steam Navigation Company、1960年にP&Oと統合)が1947年に豪州・ニュージーランド定期航路客船として就航させたSS Orcades 2万8164総t。
造船所はP&O船舶の定番であるVickers Armstrongです。
姉妹船に近い形で後にSS Orsobaが造されています。
Orient Lineの客船には頭文字がアルファベットのOで始まる名前がつけられるという伝統があり、当館にも展示中のOriana(1958)がその最後の建造客船でした。
余談ですがP&OのHimarayaは名前こそ異なりますが同じ造船所にてほぼ同じ仕様船として建造されていますので外観が同じなわけです。
船体はコーンカラーと呼ばれる僅かにオレンジがかったイエローに塗られていましたが1964年に純白に塗り直されています。
オーカデスは当初RMSの称号をつけ、豪州やニュージーランドへ多くの移民を送り出しましたが、その後やはりクルーズシップに改変されています。
1972年に廃船、翌年台湾にてスクラップとなりその生涯を閉じました。
このモデルについて
CMKRの1//1250スケールダイキャストモデルです。
出来は良いのですが最近の再生産品なのでしょう、金型傷みがひどく細かいところに潰れや抜け不良が見られます。特に当館の入手品は船尾部の船体両舷側に大きな傷が幾つも残ったまま塗装されていて通常なら不良品?です。
まあここはなんとかしましょう。
船首楼上部のラウンジ窓のスリット潰れは当初ルーターでの切削を予定しましたが、熟考の末、スクリーントーン(LETRASET JAPAN No.1076)を使うことにしました。
船尾の傷は精密ヤスリと電動ポリッシャーで塗膜と傷を除去し、再塗装しています。
船体のコーンカラーが薄汚れているのと上部構造体のホワイト色との塗り分けラインが少し歪んでいるので全面塗り直しを決断。
今回オレンジが少し強すぎました(もう少しクリームイエローを足した方が良かったようですが、まあギリかな)。
ファンネル、マストとデリッククレーンが船体と同じコーンカラーで塗られています。これもファンネルを改修する前の姿としては正しいのですので船体色と同色としました。
船体色変更塗装後に船体両舷の船窓はひとつひとつピンバイスで彫り直しています。
次いでデッキですが船体を俯瞰する写真が見当たらず思案していましたら、Yotubeに船客が撮影したカラーフィルム映像がアップされていてこれをみたところ少しウッドブラウン系の様です。ただしプールサイドの映像が多いのでこれはデッキがぬれている状況と判断。日差しの強いところは明るいタンのようですのでここはタンとしました。
P&O/OLの客船はプロムナードデッキやらボートデッキやら何層もの積層デッキのデザインが魅力でもあり、塗装のキモでもあり、
やっかいなとこですね。
最大の欠点はアンカーの位置ですがこれは削り取ってもう少し上の位置にすべきですがまあ実船の方が不自然な位の位置ですのでこのままにしました。
最後に先のスリットつぶれをスクリーントーンで修正することとした船楼の天井が何もないフラット状態ですが写真では扁平かまぼこ状の構造物が載っています。たぶん後ろの解放デッキを覆うスライド天井の格納部ではないかと思うのですが(状況は不明)正面から見ると間が抜けてますのでここは実船に似せて覆いをつけました。
ジャンクパーツからハセガワの1/700氷川丸の船首楼のパーツを利用し、全面のスリット表現も同じスクリーントーンの切り抜きです。
こんなところでどうでしょうか?
オリジナル
改修完了後
船窓潰れ
改修完了後
船尾傷(両舷)
船首楼の改修
傷の研磨修正
デッキ塗り分け
再塗装
デッキ塗装完了
SS Oriana
オリアナ
Orient Line(Orient Steam Navigation Company)最後の定期航路豪華客船として建造されたSS Oriana オリアナ。
凹凸を強調した特異なハウス構造を乗せた白亜の船体中央トップに高々と第一ファンネルを載せたこの船は3年の歳月をかけて建造され1960年に就航した41900総tの豪華客船です。2基のスチームタービン機関2軸推進によって最高30ノットを出せたと言われる高速船でもありました。造船所は英国のVickers-Armstrong。
就航年の1960年、Peninsular and Oriental Steam Navigation Companyとの経営統合で設立されたP&O-Orient Line(のちにP&O Line/P&O Cruiseへ)において1年後に登場したPeninsularのキャンベラ:SS Canberraと共に英国~豪州定期航路で活躍したものの、ご多分に漏れず定期航路需要の衰退とともにクルーズ船に改造され、時代を生き延びたこの2隻の船はP&Oラインの豪華客船の中でも特に日本人のファンが多かった客船でしょう。
日本の財閥によるキャンベラ購入話は結局夢物語にとどまりましたが、このオリアナは引退後の1986年に日本の某住宅総合大手の手で購入され、別府湾でミュージアム船として係留されていました(本当はフローティングホテルとする計画だったのですが地元別府の旅館組合等の猛反発を受け断念したとのことです)。
しかしミュージアム船としての別府湾での安息も8年で終わり業績不振から営業を終了。その後色々と別府湾で記念施設としての活用が検討されたものの結局中国に身売りされて1999年に上海、2002年に大連で係留され、短い間ですがミュージアム&テーマパークとして親しまれました。
2004年の大型台風6号の影響で船体に亀裂が入り浸水。何とか着底は免れたものの老朽化が激しく修復不可能とされ、スクラップにされてしまいました。
このモデルについて
モデルはMercatorの1/1250ダイキャスト製。
このモデルは同社製品の中でも特に出来が良いと評判ながら大分以前に同社が活動を停止してしまい、今ではまず手に入らない幻のモデルと諦めていました。
ところが英国の収集家の方がオークションに出品したのを見つけ、無風で落札。落札価格もプレミアもつかない極めてリーズナブルなもので少し申し訳ない気が。
後期の製造なのか少し型痛みで細い船窓の抜きが甘く潰れている箇所も散見されます。
まず前所有者の方の元での保管展示期間の埃を柔らかい刷毛で水洗してやり、乾いた後に水性アートペンでプロムナードデッキの船窓等の細かい墨入れ修正を施しました。
後部デッキも追加で塗装してやった方がよかったですね。後日チャレンジしましょう。
本来は手を加える必要をほとんど感じさせないすばらしいモデルです。
全形
後姿
船首部
船体中央部
船尾部
SS Oriana 二番船 SKYTREX製
最近同じモデルながら英国SKYTREX製のものを入手しました。
大分前からSKYTREXは一部の軍船を除
きモデルシップの取り扱いをしていないはずですのでこちらも結構古い時代のものと思います。
ただ先代モデルよりも船窓等のスリット抜けがよく、つぶれが少ないので金型の痛みも軽微のようにも見え、こちらの方がさらに古いのか?.......
いやいや、Mercatol倒産後のSKYTREX扱いの方が後でしょうね。
一番の売りは船首と船尾に実船同様に繊細なレタリングで船名がデカール処理されている点です。先代のモデルにはありませんでした。
持ち主の方が後からつけたのか、SKYTREX仕様なのか判然としません。
当館もSKYTREXの正規BOXを初めて見ましたのでご参考までにと.......
船首の船名印刷
船尾の船名印刷
モールドの抜け状況の良さ
SS Canberra
キャンベラ
キャンベラは同社のOriana:オリアナとともに当時のP&O Lineを代表する豪州航路の豪華客船でした。
近未来的な流線型の白亜の船体は日本にもファンが多く、乗船したある日本の財閥当主が同船をえらく気に入り日本への売却移籍を切望したとかしなかったとか……..もちろんP&Oは相手にしませんでした。
1957年09月英国Harland and Wolff造船所にて起工、1961年6月に就航した4万5270総tのこの豪華客船の名前はもちろん目的地オーストラリアの首都の名に因んでつけられました。
ターボエレクトリック推進に細身のタンデムファンネルを船体最後部に配置してイギリスーオーストラリア間の長い海路において船客には静かで快適なキャビンライフを提供しながら最高速度29ノットの快速性能による行程短縮を実現しました。
しかしながらすでにオーストラリアへの移民は減少し、加えてジェット旅客機による航空路線の拡大によって同船も1974年にはクルーズ船に転身します。
82年に勃発したあのフォークランド紛争にはQE2とともに軍用輸送船として徴用され、あの白亜の船体がアルゼンチン軍から絶好の標的となると危惧されながらも無事帰還を果たしました。
再度改修を受けて民間クルーズサービスに復帰しましたが1997年に惜しまれつつ引退、スクラップ用として売却されました。当時解体を手掛けたパキスタンのスクラップヤードでは同船の頑丈な船体構造によってその解体作業が相当手こずったという逸話もあります。
このモデルについて
最高級のシップモデルメーカーと定評のあるCMC社の1/1250スケールモデル。
フルハルとウォーターラインの両モデルで発売されました。
値段は少々張りますがさすがにCMC。塗装、造形、細かい細工とよくぞここまでと本当に驚かされます。マスト類の張り線、各デッキの手すりやプールへの階段・梯子等とても細密に再現されていいます。
一部のデッキ塗り分け部と手すり上部の茶色(木製部の表現)が一部かすれているところがありましたのでマホガニー色で追加の補修をした程度です。
またモデルを木製プレートにねじ固定してからこのプレートごと四角い木製枠にさらねじで固定する方式は輸送中のダメージの心配もなく販売業者にとってもメリットがあるでしょう。
全形
後姿
船首部
船体中部
船尾部
Canberra Mercatol版
CSC社のモデルが出るまではMercatol社の1/1250スケールモデルが永らく一番の出来と言われていました。同社が活動を停止してしまい、もはやこのモデルを手に入れるのは至難の業と思っていましたがオークションで見つけました。
このモデルはやはりプロムナードデッキ等の船側の墨入れで外観がきりっと締まると思ったのですがどうでしょう?
レーダマストが寂しいので少し追加加工してあります。
加工前オリジナル
追加修正後
MV ORIANA
オリアナ
P&O CruisesのMV ORIANA:オリアナ
6万9000トンです。
先に紹介したSS ORIANAの後継船であり、1995年の初航海時においてはP&O最大の客船でした。
造船所はドイツのMeyer Werft。アジアの雄・スタークルーズや濃紺のラインが鮮やかなセレブリティクルーズのスーパークルーズライナー群も手掛けている造船所です。
P&Oは伝統に従って生粋の英国造船所での建造を計画していましたが、P&Oがぶち上げたこの新造船整備計画を実現できる英国内造船所がなく、国外の造船所に決まったという逸話もあります。
P&Oはこの船に当時の最新技術を投入するとともに、同社の豪華客船として今だ多くのオールドファンをもつSS Canberraの面影を潜ませています。
船尾に凛として立つスリムな扁平のツインファンネルは実は一本のファンネルで、あえてCanberraのイメージを重ねてツインに見えるようにデザインされています。
また船上のプールのデッキ配置もしかり。 ただ個人的見解ですがCanberraのあの船体デザインを凌ぐものに至っていない気もします。
まあオールドシップのイメージを大切にしながら現代的最新クルーズ船に手堅く仕上げた点は秀逸でしょうか?
カーニバル傘下のオペレーターを渡り歩きながらも2019年からは中国系新クルーズ会社Astro Ocean に移籍してPiano Landと改名してサービスを続けています。
このモデルについて
だいぶ以前にSkytrexのWeb-Shpから入手した新品のMercatol 1/1250スケールです。
まだネットオークション等でも入手は可能でしょう。
このモデルはデッキ全般だけでなく、リドデッキや後部プールの周辺設備も細かく丁寧に仕上げられていてほとんど手を加える必要はないでしょう。
当館でも
1)リドデッキ全周のブルーグラスのシールドをブルーで墨入れ
2)A、C及びDデッキの客室窓とAデッキ前方の操舵室窓を黒で墨入れ
を実施した程度です。
修正前オリジナル
修正後
修正後後姿
MV Alcadia
アーケイディア
2005年3月にP&Oクルーズのパナマックスタイプ新造船としてデビューしたMV ALCADIA
8万2970tです。
同社の同名船としては四隻目となります。
この船は親会社であるCCL:カーニバルクルーズラインがHAL:ホランドアメリカライン向けに建造していたザイデルダム級の1隻でしたが同じ系列となったキュナードライン向けのクイーンビクトリア用に急遽転用を計画されながらも結局役不足と判断され、最終的にP&O向けア-ケイディアとして完成させた船です。
ファンネルデザインと船体色を除いて外見上はHALのザイデルダム級船体とほぼ同じです。
造船所はクルーズ船建造の老舗イタリアのフィンカンティエーリ。
2015年3月P&Oにおいても14万3000tのブリタニア級がデビューし、このアーケイディアも中型船の分類されてしまいました。
このモデルについて
CMKR社の1/1250スケールです。最近入手したのでまだ手は付けていません。
ファンネルの排気パイプの列や全天候型スライディングドームプール等も再現されています。
デッキや船窓等の塗装が済んだら写真を入れ替えましょう。
後姿
船首部
船体中央部
全天候型プール
Alcadia 改修竣工完了
久さしぶりに購入時のまま手付かずだった本船に追加塗装等の改修作業に着手しました。
デッキは写真を参考に明るめのウッド色に。
船体に張り巡らされたスモークガラスと中央のセントラムはタミヤのアクセントカラー黒とMr.ウェザリングのシェードブルーを適所に塗布してます。
ファンネル上部のスリットとアウトサイドにズラッと並ぶオ-シャンビュ-のベランダ付きコンパ-メントに設置されているスモークグラスフェンスを0.05㎜の極細ペンで追加しました。
プール内には水色の塗装がなされていますがここは上からクリーアブルーを薄めて落としました。
最後にライフボート上部と喫水下の赤塗装の塗り分けが少し雑なのでラインを綺麗に見える様に修正しています。
船体両舷側の船名と社名は就航初期のパターンで再現。
少し書体が異なりますがMAXONのレタリングNo.506C/508Cを適時使用しています。
後は船体中央上部のスカイデッキ/展望ラウンジを支える片側7本の支柱を真ちゅう線で設置したいところ。
こうして塗装を終えると先に就航したカーニバルのCarnival Spiritに面影が似ています。CunardのQueen Victriaはまさにこの船の拡大版です。
やはりCunard同様にP&Oもカーニバルの傘下になっていますから.......
船名と社名を
船尾から
MV Victoria
ビクトリア
P&O CruisesのMS Victoria:ビクトリアのレジンキャストモデル完成品のお披露目です。
1966年に就航したSwedish America Lineのクングスホルム:MS Kungsholm(Ⅳ)をP&Oクルージズが買い取ってクルーズ専用船に改造した船です。
欧州-アメリカ定期航路船として就航した当時のクングスホルムは先代の同名船(Ⅲ)のデザインをほぼ踏襲し、2本のファンネル上部には整流フィンをつけ、キャビンハウス等もモダナイズされた美しい船でした。
その後何度もオーナーを換え、船名も変わっていきましたがメガシップブーム以前の往年の豪華客船の一隻としてファンの多い船でした。
まず米国Flagship Cruisesに移籍したクングスホルムは船名も変えず就航当時そのままの2本ファンネル姿でサービスを続けていました。
その後この船に目を付けたP&Oによってクルーズ専用船として大改修を受けることになり、まずダミーだった第一ファンネル(往年の写真には船尾の第二ファンネルからのみ黒煙をかすかに吹いているものが多い)を撤去して各種通信設備の設置スペースとし(この部分の通信設備に幾つかの年代的バリエーションがありますが本モデルの姿は最終形態です)、また第二ファンネルもまるで見る角度によっては魔法使いの三角帽子のような背の高い物に付け替えられました(排煙効果を高めるためでしょうがもう少しデザイン的になんとかできなかったものかと....)。
総トン数も2万6678tから1000tほど増えながらも乗客数は定期航船時の約720名から450名に減じ、船内の居住性を大幅にグレードアップしたことが判ります。
まずは傘下のPrincess CruisesでSea Princessとして就航(1979-1995)。その後P&Oに移籍し、船名もVictoriaとして1995-2002の7年間活躍しました。
その後はノッポのファンネルにモナリザを描いたLeonardo shippingのクルーズ船Mona Lisaとして活躍したのを最後に2010年オマーンにて浮かぶホテルとしてアコモデーションされ、2015年までは余生を送りました。
その後も生まれ故郷のスウェーデンに戻りホテルシップを続けるという計画も報じられましたが結局2016年にスクラップになっています。
このモデルについて
船はLen Jordan製のレジンキャストキットモデルの完成品。
船体の造形は一発抜きとは思えないほど精密な出来で、パーツはこの船体にファンネル、中央デッキとレーダーマストを合わせた4パーツ!(写真)です。
後はパーツのバリ取りと摺り合わせのみで作業の大部分は塗装と細部の自作パーツの追加となります。このようなキャストモデルは船体パーツ共々表面に離型剤が残っているので、まずはこの除去から進めなければなりません。
この完成品は実を言うと塗装済み完成品をネットオークションで見つけ、無風で競り落としたものです。制作者のかたはイギリスのモデラーで非常に丁寧な塗装から察するに相当制作技量の高い方とお思います。
残念なことに出品時から船首と中央デッキの側面壁が大きく欠けていると伝えられていましたが、この(未組み立て)キット自体の正価とここまで仕上げられた作業労力を考えれば格安の値段でした。
実は自身もいつか造ろうとキット自体を購入・ストックしていましたので今回の完成品を入手後に欠損部分を部品取りのような形で未組み立てキットから切り出して調達し、補修整形しました。
あとは全面船窓に追加墨入れをしてあります。
キット
完成品後姿
船首部
船体中央部
船尾部
Southern Cross/Sprit of London
サザンクロス/スピリットオブロンドン
前身はP&Oクルーズが1972年に就航させたクルーズ船 Spirit of London 1万7000t。
モデルはこの船がCTC LineにチャーターされてSouthern Crossと名乗っていた時の姿です(なんでこんな時代の姿でモデルリリースしたのか…….)
この船の生い立ちは結構複雑です。
元はNorwegian Caribbian Line(後のNorwegian Cruise Line)がイタリアのCantieri造船所にSeawardとして発注したものです。しかし建造途中でCantieriが財務的危機に陥り同国のIRIグループに引き継がれましたがIRIは一方的にこの船の建造契約をキャンセル。Norwegianの猛抗議で船の建造は継続となりましたが結局建造途中の船体はP&Oに譲渡されます。
P&Oはこの船をSpirit of Londonと命名し1972年11月就航に漕ぎ着けました。
この船の姉妹船がSouth wordで当時のNorwegianの目印であった戦闘機の双尾翼のようなファンネル形状で(Spirt of Londonが艤装中に当初のSearwordとしての完成形から一本ファンネル形状に切り替えたというべきでしょう)就航しています。
先にクルーズ船の展示室にて公開したStarword姉妹と似ていると感じるのはこんな経緯から生まれた船だからでしょう。
余談になりますがまだまだクルーズも黎明期の70年初頭にはちょっと近未来的というかアバンギャルドなデザインの2万t弱のクルーズ船が幾つか建造されました。
CunardがCunard Adventureを、P&OがこのSprit of LondonをそしてNCLがSanwordを投入といった具合です。
衰退した定期航路サービスから持て余した大型豪華客船をクルーズ船に改造転用しながらもまだ本格的な大型クルーズシップを新たに建造する余力も勇気もなく、手ごろな大きさの新造船に新しいクルーズ時代を託したような気もします。
その後多くのオペレーター、名船と言われた客船が消えていきましたがその苦難と努力が実を結び、またクルーズビジネス自身も大衆化に向かって大きく舵を切ったことが功を奏し活況を呈しています。
この転機を早くに察し、5万t、7万t、9万t、11万tそして20万tと次々に新造メガシップの建造拡大路線を決断した会社だけが生き残れるというシチュエーションをこの1970年初頭にだれが思い描けたでしょう?
残念ながらこれらクルーズ黎明期の中型船は建造した船会社からは早くに見切りをつけられ幾度と転籍を繰り返され、クルーズビジネス混迷期の失敗作と見る向きもありますが永らく現役で活躍したことも事実です。今のメガシップにはない小粒でもピリッとした個性ある船たちだったと思います。
現在の活況をけん引するメガシップ全盛時代。その華やかさと共に客船としての美しさがだんだん失われていくようなちょと寂しさを感じる方も多いのではないかと思う今日この頃です。
(さてさて余談はさておき)このモデルについて。
CARATの1/1250スケールのダイキャスト製モデルです。
御覧のように細かい細工と塗装で手を加えるところがありません。
船体中央部ボートデッキ上のプロムナードデッキからプールデッキまで続くグラスウォール状の窓群はちゃんと透けるような仕様で仕上げらています。
中古品故に(保管状況は良好の様でした)細かい塗装のチップ?や張り線の破線、極細のマスト類の曲がり等があり、これらをちょこちょこっと修正しました。
塗装はカラフルなSouthern Cross時代のものですがほんとうは純白のSpirit of London時代がよかったんですけど.........安価で手にできただけありがたいとしておきましょう。
船尾から
ファンネル回り
船首部
グラスウォールの造形
船体中央部
船尾部