5号館:茶道具の世界 (抹茶碗)

 

この5号館Aでは茶道具(抹茶碗)の収蔵品を紹介していきます。

 

 

 


瑠璃窯変天目茶碗

一番お気に入りの茶碗です。

この瑠璃の窯変はいまだ製法が解明されていないといわれており、現存するのは世界に3つとされています。

古来陶芸家の方が再現に挑戦されていて成功された例もあるとのこと。

一度お宝探偵団にも登場した記憶がありますがその時は瑠璃の部分が埋め込みとの判定だったような.......

門外漢の私にはこの茶碗(韓国の有名な陶芸家の方の作と聞いています)も同じような埋め込みなのかわかりません。

普段は半艶消し黒の地肌ですが水にぬれるとカラスの濡れ羽色というか艶のある漆黒の地になり瑠璃の斑点が光り出してとても綺麗です。

製法はどうあれとても気に入ってます。

 



絵志野茶碗

黄瀬戸陶芸の大家加藤春二(初代)

陶寿78歳の作と箱書きされてます。

シンプルな松林の絵柄に志野釉が掛った清楚な茶碗でこれも気に入ってます。

松林の柄は作品集の中にも項目として設けられている程のお得意の絵柄だったようです。

陶歴、葵窯の印と銘の入った高麗納戸色の共布と黄色の別共布に包まれていました。

 

最近入手したお手軽撮影キットで追加写真を撮ってみました。

 



油滴天目茶碗

関西の骨董屋さんから譲っていただいたものです。赤茶けた固い地肌の天目茶碗に厚い黒釉薬が一部大きくはじけて地肌が見え景色になっています。

先の持ち主の方が相当大事にしていたとのことで朱に金彩織の美しい古裂と桃色と黄色地の厚手の2重布に包まれていました。淵に欠けがあり漆補修されているようです。

油滴天目と表記しています様に(写真では見にくくてすみません)黒釉地に細かい油滴が出ています。箱は黒漆箱。

骨董店の主人は明治時代に日本に持ち込まれた天目茶碗とおっしゃっていました。

 

黒塗木箱

見込み

茶碗裏景色1

包布


高台裏

油滴模様

 

 



絵志野茶碗 12代加藤景秋作

永らく桐箱の山の下に。購入したことも忘れていました。

和紙のカバーが掛った桐箱を見つけ、これどんな茶碗だったかなと紐を外しました。

志野茶碗 陶祖十二と墨書きされた蓋を開けると何やらしおりやら、先の持ち主の書いたものであろう購入経緯記録、天皇陛下に献上したことを証する云々の宮内庁の証明書(この茶碗ではなく作家の作品がという意味でしょうね)?はたまた何を意味するのかトンと不明な紙片まで。

当時12万で購入した旨が書かれた目録紙片を見ると仕覆と同柄の四隅の座布団、仕覆を開けると茶碗の見込みにパッキンの如く真綿の詰め物まであるのもうなづけるかも。高台脇には確かに作者の印であるレのサインもあります。

いやー完全に忘れていました。

 

保管箱

献上の証明書?

見込み

蓋書き

意味が......?

高台裏

作家陶歴しおり

桐箱内部

作家印

しおり部分

仕覆

ニュウ 1か所



目録

真綿の詰め物



白磁金彩獣文茶碗 永楽善五郎作

関西の骨董屋さんから譲り受けた白磁の抹茶碗です。永楽善五郎作とされていました。

細かい金彩模様、3つ窓にそれぞれ魚、獣、吉祥文が施されています。

一本のニュウが走っていますが骨董屋さんが金継修理を専門店にお願いしたところ図柄、景色から金直しはしないほうがいいとアドバイスされ、溶き漆で修理してくれたそうです。

高台底にかすかに永楽と判読できる印がありますが判然としません。

 

保管塗り箱

見込み

高台裏

魚文

 

 

茶碗裏

獣文

ニュウ

吉祥文



黒茶碗 銘「端祥」

楽吉左衛門(了入)作

直径106mm、高さ66mm少し小ぶりの黒楽茶碗です。

黒塗りの木箱に「九代  楽  吉左衛門」の文字の入った和紙片が張られていいて、木箱蓋裏にも写真の様な箱書きがあります。

骨董屋さんは茶碗裏の印は中印という吉左衛門中期の印だとのことでしたが、花押のある箱書きされた方の名前は残念ながら不明とのこと。この方が銘々されたのではないかと思います。

口縁部に幾つかのはがれのような欠けがありますが使用には影響ないといわれました。

木箱

蓋裏の箱書き

 

 

茶碗見込み

印影

高台



古唐津 灰釉茶碗

口縁に2箇所金継ぎのある唐津茶碗です。個人の収集家の方から譲り受けました。

その方は江戸時代の物と見立てているとのことでした。時代はさておきお抹茶には良く合う肌の持ちやすい茶碗です。

口径:127mm

高さ:70mm

 

 

古い桐箱

蓋書

外観

見込み

 高台

 

 

2箇所の金継ぎ



沓型鉄釉茶碗と銀巻き窯変天目茶碗

長桐箱に鉄絵の茶碗と窯変天目茶碗が入っています。天目茶碗は仕覆にしまわれていました。

購入した骨董屋さんの見立てですが薄造りの沓型茶碗は5-60年ほど前の清水焼きで高台横に陶印が押されていますが判読できなかったとのこと。

美しい窯変の天目は口縁に銀巻きで100年以上前の高麗茶碗だそうで、個人的にはこの窯変天目がほしくて購入した次第です。

 

沓型茶碗の寸法

長径:136mm、短径:117mm、高さ:76mm

天目茶碗寸法

径:123mm、高さ:66mm

 

 


沓型茶碗の鉄絵

沓型茶碗の見込み

高台横の陶印

窯変天目茶碗

天目茶碗の見込み

高台



犬山焼きの抹茶碗

華渓銘の和歌が墨で書かれています....

煤けた茶箱に白釉に和歌が書かれた犬山焼きの茶碗に天然木の黒漆の平棗に小さめな茶筅が入っていました。

墨書の和歌には華渓の銘が添えられています。

これを購入した骨董屋さんは保証できないが書道家「渡辺華渓」ではないかと。

ご自身も書道をたしなむ骨董屋さんだったのでそれを信じて(笑)。

                                  茶碗の直径:142mm

                                     高さ:  60mm

                                  平棗の直径:  79mm

                                     高さ:  53mm

 

煤けた桐茶箱

蓋を開けると

引出しには茶巾が


ホツが全面に

茶碗の見込

高台と犬山焼き印



黒塗りの平棗

古い茶筅と茶筅立て

 



,大樋茶碗 大樋一平作

大樋焼の茶碗には黒釉や飴釉茶碗多い中で黒浅木色の少し珍しい発色の抹茶碗です。共箱に紫の仕覆にしまわれていました。

まだ数十年前のもののようでさほど高い品ではありませんが色合い、景色が気に入って購入しました。

大きさの割に持ち手が軽い抹茶碗です。

残念ながらまだ一度もこれでお茶を飲んでいません。

一度途絶えた大樋焼の現系譜は裁判沙汰にもなったほど。今では金沢でまっとうな大樋焼を焼かれている方はみな大樋を名乗れるようです。

作者は金沢で作陶を続けておられる方で一緒に陶歴が入っています。

高台横に陶印と一平の名が入っています。

茶碗寸法

直径:120㎜ 

高さ:80㎜

 

桐共箱と蓋墨書き

共仕覆

栞類

 

 

見込み

茶碗裏

高台横の印と作者銘



大樋焼茶碗 大樋長阿弥作

これも大樋焼には珍しい景色と発色で購入したものです(友人はカビが生えていると揶揄しますが.......)。

金沢で大正14年に創設された大樋長阿弥窯出のもので中村長阿弥作といった方で間違いはないでしょう。

ただ何代目の方の作かまではわかりませんでした。

茶碗の寸法

直径:115㎜ 高さ:80㎜

 

桐箱の蓋書

桐箱の中

茶碗の見込

茶碗の高台

高台横の陶印

 

 



竹の抹茶碗

一本の竹の節部(たぶん根に近い)から削り出した井戸茶碗(椀)の様です。

継ぎ跡は一切見当たりません。

小ぶりの椀ですがそれでも太い竹の厚い節部でないと削り出せないでしょう。

紅木のような堅い木箱の中にこれまた古い仕覆にしまわれていました。

個人の方から譲り受けた物です。

ちょっと珍しくて15年前に購入したものです。

 

木箱

蓋を開けると

 

 

見込み

高台部



京焼 黒天目夜桜図茶碗 伊藤嘉峰

細かい油滴が現れた黒釉地に内外に夜桜を描いたこの時期にぴったりの抹茶碗です。

作者は柿釉や油滴天目で著名な京焼陶芸家の方。

栞や陶歴によると数々の展示会出品や賞を受賞しています。

夜桜中棗とともににこの4月は桐箱から出してやってます。

 

  茶碗寸法

   口径:123mm

        高さ:77mm

 

共桐箱

見込みの夜桜図と油滴釉

 

 

墨書き

高台横の陶印

作者陶歴と栞類

茶碗同部の夜桜と高台

 

 



信楽焼き抹茶碗 高橋楽斎作

滋賀県無形文化財になっている陶芸家高橋楽斎さんの抹茶碗。

前の持ち主の方は昭和54年に京都の大丸四条店で開催された百盌名品展で購入されたとのこと。

当時のパンフレットが桐箱内に入っていました。

桐箱裏底の隅に信楽 楽斎の墨書きと落款が押されています。

信楽焼きの土肌に滝のように口縁から茶溜り青白い釉薬が流れた茶碗は見ていて飽きません。

 

茶碗寸法

 口径:131㎜

 高さ:  72㎜

 

桐箱(共箱)

箱裏底の墨書きと落款

茶碗見込みと景色

高台周り

 

 

展示会パンフ

高台横の陶印