民間航空機の展示室

この展示室では民間航空機、旅客機等のキットコレクションを紹介していきます。


民間ジェット旅客機のCutaway Model(内部再現モデル)

ジェット旅客機の内部再現モデルといえば古くはREVELL(レベル)のキットが有名ですがそのいくつかをご紹介します。

 

Boing 747 Jumbo-Jet  1/144スケール

SAS(スカンジナビア航空)版

当時世界最大のジェット旅客機としてデビュ-した本機も元は米空軍USAF向け大型輸送機計画においてLockheedのC-5 Galaxyに破れたプランを転用した大型民間輸送機プロジェクトであり、結局本家の軍用機(C-5)よりも大成功を収めたことは有名な話です。

機首部のみですが2階建てのワイドボディ-機(従来の中央一本通路のレイアウト機に対して客室内に複数の通路が設けられた機体を指します)で大量輸送による航空運賃の低価格化により海外旅行を身近なものにしてくれた立役者といえるでしょう。

このB-747インテリアキットのリリ-ス時期は機体運航年数が示すように相当古いものですが、つい最近ドイツレベルの50th記念モデルとしてラインナップされ再販されました。初版はスイスエアー仕様だった気がします。

ダブルデッキの上部客室内部の状況、高揚力フラップが再現されていることから747の100型のモデルでしょう。

余談になりますがSASといえば米国のナショナルフラッグであったパンナムが消滅したあと(今でも地方を結ぶエアサービス社として名前だけは残っているようですが)「兼高かおるの世界の旅」のスポンサーとして知名度を上げた航空会社ですが、この会社も今はもう存在しません(2017.09.17追記:消滅はしていませんでした。国策支援や合弁統合等で生き残っていました)。

日曜の朝、ファーストクラスのジェット機内で豪華な機内食を食べながら世界を遊覧する兼高さんの世界の旅は子供心に強烈な印象を刻みました。大人になったらパンナムのジェット機に載って豪華な機内食たべるんだとか(笑)。

パンナムが倒産して失意のどん底(大げさな....)にあった館長に叔母が放った一言「あんた、ファーストクラスの食事たってそんなにおいしいもんじゃないわよ!」

確かに海外旅行好きの叔母の言葉故に相当の説得力がありました。

でも「夢だったんだい!」

 

2023.02.04

とうとう最後のB-747の製造・納入が完了したとのニュースが。

 

 

 Lockheed L-1011 Tristar トライスター

1/144スケール TWA仕様

同じワイドボディ-機に属するも先のB-747に比較するとやや小型の3発機ロッキード・トライスタ-。

McDonnell Douglas のDC-10との壮絶なシェア争いを繰り広げた機体であり、またLockheed製最後の民間輸送機でもありました。

このキットはオリジナル版のみならず日本国内向けのこのグンゼ版も発売時から今までに一度も再販されていないのではないでしょうか?

単層フロア-の客室、下層のギャレ-やクロ-ゼットとそれを結ぶエレベータ等が再現されています。

またこのキットでは何人かのフライトアテンダントもパ-ツ化されています。

日本では全日空が採用し(日航はDC-10を採用)、最先端のアビオニクスや居住性の高さを誇り乗務員や旅客者から好評を得たものの、日本においてはロッキ-ド疑獄の機体として少なからずダ-ティ-なイメ-ジが付きまとってしまったのはかわいそうでした。

またLockheedの民間航空機事業の起死回生を担って開発された機体だけに軍用機並みの機体強度に加えて高度な自動制御システムを搭載していましたが、これが裏目に出てしまった墜落事故が起こり「数ドルのギアランプ不良による墜落事故」と大きく取りざたされました。

これはご存知の方も多いと思いますが前脚が正常に出たことを示す小さな表示ランプが切れたことで脚が本当に出ているのか心配になった機長や副操縦士が色々いじっている内に体で操縦桿を押してしまったことでそれまで自動操縦コースにセットされていたオートパイロットが解除されてしまい、またフライトコンピュータはパイロットが降下を命じたと判断して空港手前の湿地に向かって自動降下を開始してしまいます。

このトライスターは機首上げ姿勢をすることなく水平姿勢のまま降下が出来るダイレクトリフトコントロールという最新鋭の機体制御システムをもった当時唯一の民間航空機であったためにパイロットも機体の降下に気付くのが遅れたといわれています。

地上接近の警告音もむなしく機体は湿地に激突してしまいますが衝突地点が泥沼であったことと機体が頑丈であったために生存者も多かった事故でした。

あまりにハイテクなシステムの落とし穴、システムへの過信によるヒューマンエラーの典型例と紙面等で大きく報道されました。まるでトライスターの欠陥のようにメディアは報じましたが、ライバルのDC-10の方が貨物ドアのロック機構や垂直尾翼周りの構造欠陥による事故が多発した欠陥機だったことも事実(こりゃ判官贔屓かな。いえいえナスジオの番組が盛んに流してます)。

確かにエンジン開発の遅れやセールス部隊の力不足をロッキード技術陣が力技で挽回しようとした結果と言えばそれまでですがやっぱり最高の機体を造ろうとした技術陣には酷な顛末でした。

DC-10の方もトルコ航空墜落事故後の大規模な集団訴訟が足かせとなり売り上げが伸びず、結局ボーイングに吸収合併される事態に繋がるわけですから痛み分けというところでしょうか?

 

 

Airbus A380  1/144スケール

デモンストレーター仕様

世界最大のジェット旅客機 エアバス社の A-380インテリアモデルです。

開発時は一部の機体ブロックの設計トラブルや組み立て工程トラブルによる遅延に加え、原油高騰の直撃による海外旅客数の低迷によってその存在意義すらが危ぶまれていました。

経済性を全面に押し出したライバル機Being B-787 Dream Liner:ドリームライナー の理由不明の度重なる納期遅延や就航後のリチウムバッテリーの発火事件の頻発、また原油価格の急激な低下等により追い風はA-380に再び吹いているようにも見えますが果たして成功するかはまだまだ未知数でしょう。

スカイマークの経営を窮地に追い込んだA-380大量発注とそのキャンセル騒動からそう簡単に転用販売先カスタマーが見つからない事実もエアバスが認めています。

とはいえ史上最大の総ダブルデッキ民間旅客機だけあって、客室のレイアウトはスペ-スをもてあまし気味?とも見える非常にゆとりのあるものです。

キットにはファーストクラスのカプセル式独立フルフラット客席やバーラウンジが一発抜きのながらフロアーに再現されています。

今回は各階の天井までも再現されており、特にこの重量機体を支える主脚やフラップアクチュエーターフェアリングが並ぶ大きな主翼も見所十分です。

ロールスロイスのTrent900とエンジンアライアンスのGP7200の2種のターボファンエンジン搭載機が実機通りに選択できるようになってはいるのですが(ファンブレ-ド部とテイルコーン及びデカ-ルを選択可能)、本来は二つのエンジンの仕様・形状が大きく異なっているので本当はそのエンジンマウント用パイロンが2者で微妙に異なるにもかかわらずこれを一つ(多分RRエンジン用)で再現しているのはちといただけない点でしょうか(でも実際ほとんど外見上の差は判別できないからいいか)。

このA-380を世界初の総二階立て(民間)航空機と書いている紹介記事を見かけますが、これは世界初の総二階建てジェット旅客機とするのが正解。

レシプロ機時代にもダブルデッキの大型機はいくつかありました。

 

 

VC-25 Airforce One 

1/144 Scale     DRAGON

米国大統領専用機

最近DRAGONから立て続けに日本政府専用機や中華航空機等Boing747-400インテリア再現キットがリリースされました。

日本政府専用機や中華航空のキットなら問題なしにこのテーマに入れられるのですがこのVC-25は所属は米空軍で軍用機。まあ目をつむってくださいね(笑)。

シュリンクを外して中をまだ確認していませんのでとりあえず箱絵の写真を載せておきました。

映画の主役も果たした子の機体もそろそろ耐用年数を迎えますが次期機種にはバイアメリカンの方針からBoing747の最新型ダッシュ8型に決まっています。

 


Sud SE210 Caravelle  1/96 Scale  Lindbarg

フランスのSud Aviationが1955年3月1日に進空させた短・中距離用双発ジェット旅客機のカラベル。

ジェット旅客機としては先に英国のデハビラントのコメット1型(Mk.1)が旅客サービスを開始していましたが就航まもなく原因不明の空中分解事故を連続して起こし飛行停止(耐空証明を取消)されてしまいます。

英国の威信をかけてその原因究明が行われた結果、原因はアルミ材窓枠の設計とリベット工作の不良箇所に離着陸時の与減圧の繰り返し負荷が加わって発生した金属疲労破壊とその亀裂拡大による空中分解と判明。デハビラントはその安全対策に加えてさらなる大型化を狙ったコメットⅢ/Ⅳ型を再び空に進空させますが時すでに遅し、10年近い歳月が流れ結局コメットは登場時の花形機には返り咲けませんでした。

話を戻し、コメット事故の原因究明が行われていた時期に設計が進んでいたこのカラベルは同機の優れたシステムは参考にし、問題となった機体構造欠陥への安全対策(客室窓を長方形から角を丸めた三角形という特異な形状窓に変更)に加え、搭載エンジンもパワーと信頼性を考慮し国外製を選定して座席数をコメットⅠ型の約2倍とする中距離双発ジェット旅客機として仕上げ、華々しくデビュー。以後も次々と改良型を投入し、総計で280機近くが生産された商業的にも成功を収めた旅客機と高い評価を得ました。

フランス機ながら敢えて自国エンジンを諦め、堅実な英国製RRのエイボン・ターボジェットエンジン2基を機体側面後部にマウントし、プレーンな主翼の全域に高揚力装置を装着する先進性と水平尾翼を垂直尾翼の中段に十字配置する手堅さを両立させた機体デザインを採用したことで運用しやすい機体と評価されました。特にプレーン主翼とリアエンジンマウント方式は後日ボーイング727、ダグラスDC9そしてBACやツポレフ等のベストセラー機に導入・引き継がれてきました。

このキットは箱裏の完成写真の如くエンジンポッドを含め機体半分がクリアーパーツ化されておりエイボンエンジンやコクピット、客室内のインテリア、乗務員までも準備された内部を見られるようになっています。

座席は旅客機では珍しい対面式セッティングが可能なシートを再現するため背もたれが別パーツ化されていて個々に取り付けるといった懲りよう。

また降着装置類は格納可能、全動翼類も可動、ボーイング727も採用した機体尾部下面のボ-ディングタラップも可動といったさすがギミックのリンドバークとも言うべき楽しいモデルです。

オリジナルは1960年前半に発売されたキットだと思うのですが内部インテリアやギミックが省力されたものやそのスケール違いを含め3種類程度が販売されていました。

今回のものは久々の再販品でデカ-ルがカルトグラフ製の良質品に代わっています。

 

Box裏

 

 

パーツ類



超音速旅客機(Super Sonic Transporter:SST)

英仏共同開発のコンコルドやソ連のツポレフTu-144等の実用化されたSSTや計画のみで終わってしまった米国のSSTのキットをご紹介します。

 

 

CONCORDE 

1/72 Scale     AIRFIX

英仏共同開発のマッハ2級超音速旅客機CONCORD。

初飛行としてはコンコルドフスキー(コンコルドのまねっこさんの意)のTupolev Tu-144に先を越されたものの、Tu-144はすぐに全機商業運用を停止したのに対してその後も長年商業運行を継続しました。

記憶に新しい2000年のエールフランス機のシャルル・ド・ゴール空港離陸直後の炎上墜落という悲劇的な大惨事を起こし、原因はその前に離陸した旅客機が落とした部品をはね飛ばし、運悪く主翼に穴を開けてしまい翼内のタンクからジェット燃料が漏れてこれにエンジン排気が引火したことが原因と判明し、コンコルドの構造や設計の欠陥ではないことが判明したものの、これを契機に惜しまれつつ引退していった機体です。当時左翼から大きな炎を吹き出してドゴール空港を飛び立つ写真がニューズウィークや幾つもの雑誌に掲載され、100人以上の乗客乗員と墜落地点の地上のホテルの宿泊客等を巻き込んだ大事故として大騒ぎになりました。

写真のAIRLINE 2000年10月号も特集を組み、事故の状況のみならず(まだ原因は不明の段階)今までに生産された各機体紹介やコンコルドの操縦マニュアル等、これ一冊でコンコルドの蘊蓄が語れるほどの充実した内容でした。

ただこのコンコルドも決して商業的に成功したとは言い難い機体でした。

英仏(British Air WaysとAir France)ともに意地で運行していたところもありますがそれでも世界唯一といってよい商業実用超音速旅客機としてファンも多く、永く人々の記憶に残る機体でしょう。

前説が長くなりましたがまず最初に当館一押しのベストキットをご紹介しましょう。

上の写真のAirfixの1/72スケールインジェクションキットです。

タイヤはゴム質の素材、同社の親会社になったハンブロールの塗料や筆まで入っている豪華キットです。この大きさなのでコクピットも精密再現されており、組立説明図からすると機首の折り曲げ機構とバイザー引き下げ機構も再現されています。

注目すべきは客室の窓ガラスを一つ一つ特殊なポリマージェルで膜を張っていき、その樹脂膜を硬化させる手法です。確かに仕上がりの質感は透明プラパーツを機体内側からはめていくよりは格段に上がりますが、ちょっと根気のいる作業ですね。

 

AIRLINE紙2000年10月号

 

 


CONCORD 1/144Scale

次は1/144のお手軽サイズのキットを

一同に集めました。

国内では古くは日東から発売されていた1/100スケールものがありますがこれは機首がプロトタイプ(折り曲げ機構はありますがバイザーが下がらない)もので、当時3機の購入を予定していた日航のデカール入りでした。後日販売された真ん中の1/144スケールのものは量産機タイプになっています。

その金型が童友社に買い取られた後に再販されたものが下段のキット。発売時期により箱絵が異なるものが幾つかありました。

上段のAirfixのキットも出来が良いキットですが何故か機体側面の各ドアのみが彫りではなくすべて別パーツ化されています。

 

販売時期の異なる童友社の1/144スケールキット




Fairey Delta 2    

1/72 Scale    NOVO

1954年に初飛行したイギリスのデルタ翼超音速試験機で2機試作されました。

コンコルドと同じように離着陸時には機首(バイザーではなくコクピット自体)を10度折り曲げ視界を確保できるようになっていました。

コンコルド開発に際して、この1号機を改造してオージー翼の超音速飛行特性の調査に投入された試験機がBAC211という機体です。

このキットのオリジナルはイギリスのFROG社ですがFROGの倒産後にソ連のNOVO社から再販されものです。

 

箱底の塗装指示図



パーツ/デカール


組立説明図



Tupolev TU-144 

1/144 Scale    ICM

Tupoleve Tu-144は英仏共同で開発が進んでいたあのコンコルドの開発資料をスパイに盗ませ開発の参考にしたとかいろいろ物議を醸しましたが、事の真偽はさておき情報公開後に明らかになったソビエト各設計局における超音速機の開発検討経緯をみるとそれなりに地道な研究開発を進めていたようで、SSTを進空させる技術力は十分にあったようです。

秘密のベ-ルの中から突如現れたTu-144に初飛行で先を越され、西側メディアは本機をコンコルドフスキ-と呼びましたが両機はそれほど瓜二つではありません。

4つのNK-144ターボファンエンジンを一列に束ねたそのマウント方式、脚の引き込み方式も独自のもの。まあソビエトの大型機は一般に不整地に近い滑走路での離着陸が課せられるヘビ-デュ-ティ-仕様ですので旅客機と言えど、おのずと軍用機並みの小径多数タイヤによるボギ-方式に成らざるを得ないのでしょう。その分引き込み方式も手が込んだものになってます。初号機のオージー翼は真似たのでしょうね。

そのなだらかな曲面のオージー翼も量産型では直線的なダブルデルタに変更され、最後まで足を引っ張ったエンジンのマウント方式もコンコンルドまで離していませんが2つに分離してマウントされています。

さらに機首に引き込み式カナ-ド(というより補助翼でしょう)を設け離着陸時の機体制御の改善を図っています。後々このカナ-ドがパリ航空ショ-で地上の一般住民を巻き込んだ悲劇的な空中分解・炎上墜落事故の原因となるのですが……..

まあソ連の威信で進空させたSSTなので燃費は悪いわ、メンテナンス性は悪いわでアエロフロ-トによる民間旅客機としての商業運行はすぐに停止。その後は細々と郵便貨物を運んだりしていましたがそれもすぐに中止され、全機運行停止のまま長らく放置されていました。

 

つい最近(といってももう10年以上前になりますが)米国NASAがスポンサ-となって次世代SSTの研究デ-タ収集用の試験機体として白羽の矢があたり、BOEINGによってエンジンや制御システム等の改造を受けたTu-144LLが飛行したことは記憶に新しいですね。

まだコンコルドが現役中の話ですからなぜTu-144が選ばれたかは腑に落ちないところもありますが、何かと牽制し合う欧州v.s.米国という構図とロシアにしてみればなにせ遊んでる機体ですから、お金を出してくれるんなら共同研究として全面協力しましょうといった形だったのかもしれません。

NASAやBOEINGにしても実機の中身をみてみたいし、コンコルドより大型な機体なのでうまくいけばより次世代機の開発計画に役立つデータが取れるのでは?といった話だったのでしょう。

 

キットはICMというウクライナのメーカーから出ているTU-144の量産初期型と最終量産型のD型のキットです。基本的に金型は同一でD型の特徴である換装されたエンジンのノズルと延長された翼端のパーツが付くだけですがキットの出来はよいと思います。

 

初期型の機体は東ドイツのKVZというメ-カ-から1/100スケールが出ていました。昔作った際の組立説明書のみ残っていました。

機体下のエンジンマウントが独特で量産型やコンコルドと異なっているのがわかります。このマウントでよくぞ超音速飛行したと感心しますが、やはりエンジンのケーシングに空気抵抗応力がかかりヒビが入ったとのことで量産型では高速空気の流れをスムーズにする様に分離マウント式にしたようです。

 

TU-144LLはTAKARAの世界の翼シリーズでシークレット機体として完成塗装済み機体がリリースされています。

 

Tu-144キット

Tu-144Dキット

 

 

TU-144D

追加パーツ

 

 

Tu-144

初期型キット

 

Tu-144LL

 


BOEING SST B-2707-100 

1/144Scale       Revell

今回は米国におけるSST計画を。

No.1でなければ気が済まない米国においてこのSST計画が存在しなかった訳がありません。

当時の航空機メーカー、BOEINGとLOCKHEEDがまず開発計画の勝者となるべく一騎打ちを演じました。

North American もXB-70の胴体に客席の窓を描いて「はいマッハ3級のお手軽超音速旅客機」の出来上がりと提案はしたものの即座にボツ。デルタ翼上に載った後ろ細りの胴体部分を気は心に延長して客席を稼ぐ案も出したんですが.....。

このXB-70の旅客機案をキットにしたのがリンドバーグです。それもトランスワールドとコンチネンタルエアーの2種類も。決してリンドバーグの突飛な創造物ではなかったんですよ。

当初はLOCKHEEDの案(L-200/400)が先行していましたが、最終局面でBOEINGがあのコンコルドの3倍の乗客数(300座席)と1.3倍の速度性能(マッハ2.7)を基本設計とする可変後退翼を採用する大型SST-BOEING2707-100/200案を公表するに至り、米国のSST開発計画はこの2707案に軍配があがります。一時期BOEING 733と呼ばれた時期もありました。

ただしBOEINGの社内には当初から大型デルタ翼案と可変後退翼とする2案が争うような構図もあったようです。

モックアップ審査に続き、大型機として初の採用となる可変後退翼の軸受け機構(ピボットボックス)やチタン製の超音速可変インレット機構等の各種構造要素の開発実験が進んでいたものの空港近傍飛行時の騒音や超音速巡航時に発生するソニックブームが地上に与える悪影響といった環境問題に加え、高い運行経費のマイナス面が声高に叫ばれるようになり、あの米国を持ってしてもSSTを進空させることを断念せざるを得ない状況になってしまいました。

キット写真上段はRevell 50周年記念としてドイツレベルから初版時のBoxで復刻販売されたキットです。おきまりのパンナム仕様。

下段はだいぶ前にブラジルレベルから再販された同一のキットでモックアップの機体を箱絵モデルにしています。

どちらも飛行形態、離着陸形態を再現した2機セットでした。


MONOGRAMのキットは200型をチョイスし飛行形態だけでエンジン排気口にスタンドを差し込むデスクトップモデルでしたが可変後退翼は再現していました。

両者とも完成品がどこかにしまわれているはずなのですが.......


資料写真はB2707のBOEING公式仕様の写しです。

相当のボリュームがあり、米国政府や各国航空会社へのプレゼン用に配布したものと思われます。

 

Monogram BOEING SST

BOEING Official Data Book

   機体サイズ比較    

B-747/v.s.B-2707

 

 

BOEING Official Data Bool

翼内側の可変エアスリットの効果

 


BOEING 2707-200 Atrantis Model

1/400 Scale

こちらが本日米国のお店から到着した200型のキット。

先のモノグラムのキットの再販版です。

最近古い米国モデルキットを中心に大量に再生産してくれているAtrabtis Modelから。

モデル100と200の違いは御覧のように機首のカナードのみです。

結局試作開発段階で搭載する可変後退翼機構(開発はほぼ完了していたらしい)の重量超過問題が最後までネックになりBOINGは可変後退翼を断念し、固定デルタ翼のモデル300のモックアップを再提案しますが当時の燃料高騰による運航コスト増大の見込みや空港周辺の騒音や超音速移行時のショックウェーブの環境問題によって米国版SST計画は潰されてしまいました。

 

モノグラムはUNITED航空のデカールでしたがこの再販品はPAN AMとBOEINGのモックアップ版の二つが選べます。

古いキットですがバリもなく、モールドも良好でした。

こういうキットが通常価格帯で再び手にできるのはうれしい限りです。


その他の民間機体

Airbus A300-600ST BELUGA

1/144 Scale        Revell

Airbus社が自社の旅客機の胴体ユニット等を空輸するためにA-300-600の機体をベースにして造った大型輸送機ベルーガ(白イルカ)のキットです。

Airbusは以前は米国製のスーパーグッピー4発レシプロ機を使用していましたがこの代替機として自社製造したのがこの機体です。

スーパーグッピーのジェット化の様にも見えますがワイド機A-300の胴体に1.5倍以上の直径の格納部胴体を乗せ、コクピット上部の全面部分のみを持ち上げるハッチバック式カーゴドアとするためにそのコクピットを一段下げた形態に変更。これがイルカを思わせる姿になっています。

ちなみにスーパーグッピーはコクピットを含めた機首部分がサイドにスイングする形でしたので積み卸しも簡便化されています。

ナショナルジオグラフィックの番組でも取り上げられましたがこのような特異な形状から機体の空力特性の最適化には相当苦心したとされています。

現在5機が運行中です。

 

同様な機体としてBOEINGも新型B-747ダッシュ8の機体を使いファミリー最新B-787の機体部構造体等の輸送等に活用していますね。

 

 


日本航空機製造 YS-11   

1/72 Scale BANDAI

東亜国内航空/航空自衛隊仕様 

戦後進駐軍から航空機の製造・飛行を禁止されていた日本が1952年の講和条約締結による国際社会への復帰を契機にその禁を解かれ、戦後初の国産機とし日本の空に進空させた国産旅客機のYS-11。エンジンやアビオニクスは外国製でしたが機体設計は純国産のターボプロップ機でした。

生産は国内7社により分担され1962年8月30日に試作一号機が初飛行します。

当時再開していた国内航空各社での運用だけでなく輸出も視野に入れFAAの耐空証明の取得を目指しますが開発当初からの操縦性の悪さとエンジンの異常振動から設計変更、大改修を余儀なくされ、その根治に手間取りるとともに燃料高騰や国産民間機として初の輸出事業も伸び悩み、結局182機の製造に留まってしまいました。

しかしながら戦前の軍用機開発で手がけた堅牢で手堅い機体構造とともに大改修後のYS-11Aは使いやすい機体との評判から現在でも海外の地方輸送航空会社や自衛隊(そろそろ退役の時期か?)で少数機が活躍しています。

キットはすでに消滅してしまった東亜国内航空(TDA)と航空自衛隊の運用機がデカール選択式で製作できます。東亜国内航空は戦後活動を再開した東亜航空と日本国内航空が1971年に合併した航空会社でした。その後1988年に日本エアシステムに吸収され、このJASさえも再建なった日本航空に吸収されてしまいましたね。

箱絵と同じイラストが一枚おまけで入っていました。

古いキットですが窓は全てスモークグレーのクリアーパーツ。全体的にかちっとした出来のキットです。

 

箱絵

 

 

パーツ類