週刊TITANICの終刊から約10年。
2004.01.14の創刊から約2年間の作業を経て本船を完成させ、その写真をアシェットの特設ページにアップされた皆さんのTITANICは今も健在ですか?
当館のTITANICは船体にこそ大きな損傷はありませんが経年の傷みや部品欠損が幾つか見つかりました。
ちょうど10年のリニューアル時期。リーズナブルに部品を入手するには今がギリギリのタイミングかもしれません。
定例の清掃と供に今回損傷箇所の修繕を実施しました。
<第一段階>洗浄
ここ数年、掃除をさぼっていたので張り線、デッキには埃が絡み、ファンネル固定用張り線も4割程度が断線しているといった幽霊船の様な状況でした。
ここまでくると絵筆で少しづつゴミや埃を掃いていくのも難儀な作業です。そのため今回は強硬手段にでました。
バスルームで船体をシャワーで水洗して一挙に埃を洗い流しました。排水溝には取れてしまったパーツを流して紛失してしまわないように事前に金網を設置しましたが結局パーツは取れませんでしたが.......。
ただこの水洗によるクリーニング方法を皆さんにはお勧めしません。
当館のTITANICにはオリジナルの板紙印刷パーツをほぼ使用していません。
船室等ハウス部はすべてブラスエッチングパーツのアクリル塗装ですのでなんとかもつだろうと考えこの暴挙にでました。
もし紙のオリジナルパーツをご使用の方は柔らか目の絵筆やブラシで少しづつ埃を取ってやることをお勧めします。
水洗後、柔らか目のクロスで船体をふき、軽い前傾姿勢にして半日バスルーム内でゆっくり水切りと半乾燥をさせました。
船体部材に落としきれずに絡んでいる埃はピンセットや綿棒で慎重に取り除き、デッキや汚れの目立つ部分には綿棒に薄めた中性洗剤を浸け軽く擦り落としをしました。
まず破断したファンネル廻りや電信用空中線の張り線修復を済ませてしまいました。破断した糸をはさみで固定金具根元からカットし新たに一つ一つ張り直しています。
これだけでも結構生き返りました。
<第二段階>損傷チェックと部品調達
新たに部品を必要とするダメージ箇所をチェックしましたら今回は数か所の修復で済みそうです。
1 )第三ファンネルのホイッスルパーツの喪失
2)左舷後部救命艇No.14-16間のウエリンボートダビットが一ヶ所喪失
3)船尾ドッキングブリッジのレール(手すり)損傷
先に修復したファンネル固定張り線は当時から将来の修復を予想して黒50番ミシン糸に変更していましたので同じ もので修復しました。
1)と2)はまだ残っていたパーツ保管庫を探したところ残念ながら余剰パーツはありませんでした。
さあ、パーツの調達が次の問題です。
ネット通販店やオークションで所定の号数だけ手に入れることができればベストなのですが今後のことを考え、一式セット(AMATIのオリジナルキット)を今のうちに購入しておくのも手かもしれませんね。
今回の必要パーツは当時の号数で70-72号と92号でした。
皆さんのTITANICの修復に必要なパーツの配布号数は以下のサイトで検索可能です。
パーツリスト(残念ながらすでに閉鎖されてます)
こういったポータルサイトは本当にありがたいですね(感謝です)。
残念ながらヤフーオークションでの入手はNGでしたのでe-Bay /セカイモンで調べてみました。
イギリス/ドイツのお店が現地の配布シリーズ「Build the TITANIC」を単号数で販売していました。まだ相当の品揃え状況のようですが欠品号数も増え始めているようです。
パーツリストはEU版も日本版と同一の様です。
値段もプレミアはついていませんしセカイモンはおまとめ発送指示ができますのでうまく調達地域やお店を合わせれば国際送料も圧縮できます。
早速在庫有りの4つの号を取り寄せ指示しました。
第三煙突のホイッスル紛失
左舷の第14と第16ボート間の
ダビットの紛失
船尾左舷手すりの損傷
パーツ到着
日本にジェット便で届いたイギリスとドイツ両国で配布された週刊TITANICの各国版配布号。
「BUILD THE TITANIC」は英国版
「THE TITANIC」はドイツ版です。
さあ、修繕開始だー。
クリーニング&リペアなったTAITANIC。せっかくですからもう少し手を加えようかとお考えならば以下の点をご検討なさってはいかがでしょうか?
改修箇所として完成後の船体に大きなダメージを加えそうなものは除き、現状のままで追加できるようなディテールアップ案をセレクトしました。
レベル1ディテールアップ(コストは低い割に効果が高いもの)
①デッキ手すりにマホガニー製高級木製手摺りを模したブラウン色の手摺り
を張り巡らす(作例:写真に赤の矢印)。
1mm厚位の板紙かTAITANIC製作の船体に張り巡らせたバルサ細板の残り
をアクリル塗料(マホガニーかブラウン)で塗装し、それを2mm幅位に
裁断してデッキレール類の最上部にそのまま載せるように瞬間接着剤で
固定して行きます。
通常1等、2等船客が立ち入るデッキスペースの手摺りやプロムナード
デッキの船体 側にはこの木製手摺りが取り付けられています。
当館のTITANICでは船尾の3等船客用デッキ(映画でローズとジャックが
出会う船尾)とボートデッキの一部にこの木製手摺りを付けてしまいまし
たがこれは実際には付けられていませんでした。
船首手摺の一部にはスイング機構が付いていたり、通常で乗客が立ち入る
ことはないので(ジャックとローズは別です)メンテや作業上から不必要
なものであることは最初から頭にあったのですが当時は調子をこいてパカ
パカと乗船客が立ち寄るデッキの手摺にはこの高級木製手摺をつけていま
した。
まあ、うがった見方かもしれませんがこんなところにも当時の強烈な階級
意識が 見え隠れしているようにも思えますね。
②クレーン保持台を自作設置する(作例:写真にピンクの矢印)
支柱は真鍮線やプラ棒、トップはプラバンやエッチングパーツの残り等で
自作すると良いでしょう。
形状や作成方法は当時ポータルサイトに掲載されていたのですが現在は
削除されてしまっています。
③ボートデッキにある一等船員室や無線室等の壁には円形ドーム状の室外灯
や足元灯が適時設置されていました(作例:写真に水色の矢印)。
ガンダム等のロボットモデルの改造パーツにぴったりのものがあります
(一袋数百円で相当数のライトパーツがモールドされています)。
赤かオレンジ系のクリアパーツ、または透明無色のものを後からクリアー
のレッドで塗装して取り付けても実感が上がります。
Level 1
改修ポイント①
Level 1
改修ポイント①
Level 1
改修ポイント②
Level 1
改修ポイント②
Level 1
改修ポイント③
レベル2ディテールアップ(追加コストが高めですが効果は抜群です)
①デッキ長いすをオリジナルのプラ製からブラスエッチング製に取替える。
オリジナル版プラ製長いすは一回り小さめで実感にかける様に思います。
長いすのデッキ設置場所がオリジナル説明書では一部欠落している箇所
もあります。
②ライフボートの安全柵を設置する
ブラスエッチングパーツを白で塗装後切り出し、両端を折り曲げてボート
前に設置するだけです。
ただこの安全柵はオリンピック号での使用は確認されてますが、出航まで
ドタバタ続きだったタイタニック号ではロープ張りで代用されていた様
です。
③ライフボードのGrab Ropeを再現する(作例:写真に黄色の矢印)
当館ではボートに糸を瞬間接着剤で一つ一つループを造りながら作成し、
塗装後に両サイドのロープ部を折り曲げそのままボートの上から被せる
様にすれば完成するエッティングパーツも出ています。
1シートで14基のボート分を準備できます。
Level2 改造①
MiniBrass Etching Parts
長椅子 エッチングパーツVer.
後部デッキ
Level2 改造②
MiniBrass Etching Parts
前部ボート安全柵
後部ボート安全柵
Level2 改造③
MiniBrass Etching Parts
ライフボート側面ロープ
レベル3ディテールアップ(細かい箇所なんですが........)
①船首、船尾のマストは白ではなくブラウンか赤褐色が正解です。
(確かに白の方が見栄えはいいですが.......)
ただしフォアマストの見張り台はホワイトのままでOK。
②船尾一等船客用デッキから伸びる後部マストにはボートデッキ床から伸びる
固定支柱が設置されていました。(写真:緑の➡)
③ブリッジ前面壁や船首Well Deckの波除柵の内側には支えの支柱が一定間隔
で設置されていました。(写真:紫の➡)
④各ファンネルの基部には2~4カ所、空気取り入れ用の電動ファンが格納
されていて、その場所には黒いグリルがもうけられていました。
黒のメッシュシートを適時大きさに切り抜いて両面粘着シートで指定の場所
に貼り付けます。(写真:灰色の➡)
Level 3の改修箇所②
Level 3の改修箇所③
Level 3の改修箇所③
Level 3の改修箇所④
TAITANIC製作時の疑問と論争の思い出
この週刊タイタニックの製作当時、2つの疑問がでました。
一つは船体前後部のWell Deck(貨物倉庫ハッチのあるデッキ)のハウス壁面と電動クレーンの下半分の色はHachette(AMATI)の指定の黄色だったのか、オレンジ系茶褐色なのかという論争。
当時カラー写真は皆無ですから造船所の公式塗装指示書でも存在すれば確定するのですが.........。
ジェームズ・キャメロンの映画「TAITANIC」では後者の茶褐色でした。
Well Deck位置の船体両舷に描かれている黄色の帯(映画も黄色でした)の裏側という位置関係から同じ黄色だと考えるのも合点はいき、黄色説を採用。
ただ最近、当時には気が付かなかった資料にぶち当たりました。
一等船客デッキから後部デッキを映した一枚の白黒写真です。下部の色はその黒さから黄色とするには無理があるようで、その写真には同じく後部マストも写っており、そのコントラストがほぼ同じ、つまり茶褐色系が正解だったのではと気が付きました。くそ、今さら悔やんでいます(笑)。
もう一つはライフボートのフォーメーション(セッティング)位置。
多くの処女航海出航時の写真に見られるように船体内側に一列になって完全に仕舞われていたのか、オリジナルの製作指示図通りに少なくとも後部両舷のボートだけは半分船外(海側)に押し出された位置にあったのかという点。
これはいろいろな写真を検討し、少なくともサウザンプトンを出航した後は半出しの位置だったと確信しました。
ハーランドウルフ造船所からホワイトスターの専用ドックに回航されるまでは内側に揃えられていたボートは出航前または出航後のどこかでに一、二等船客のボートデッキ利用の利便性を考慮してか半分海側に移動させた位置で再固定されたのが正しいと思います。
まあ、どっちもありということなのですが。
<2005年当時の製作日記から>
タイタニックの後部救命ボートは果たして前部と同様にすべて船体からはみ出さずに前部ボートと一直線のライン上に設置されているのか?はたまた週間タイタニックが根拠とするマスタープランと称する設計図の通り、後部の8隻すべては半分船体からはみ出して設置されているのか?
海外の先駆者作品群やいままでリリースされた数々のプラモデルはほぼ一直線の設置ばかりだがFine Art Modelsの1:48スケールの巨大モデルがマスタープラン通りであることを確認。
このモデルは大西洋海底に眠るタイタニックを発見した有名な調査を後援したNational Giographic Societyのホールに展示されたものらしいから結構信頼性は高い!
処女航海(1912.04.10)までの時間経過で写真等の資料を整理すると、ベルファストのハーランド&ウオルフ造船所の係留時からサザンプトンのホワイトスター埠頭への回航接岸(同年4/3)までの写真では救命ボートすべてが船体内に収まった形で固定されていた可能性が高い。
しかるにシェルプール、クイーンズタウン経由でニューヨークへ向かう運命の処女航海就航時に撮影された写真は後部のボートが半分船外にせり出した週間タイタニック方法で固定されている。
クイーンズタウンで下船したブラウン神父の写真しかり、新たに見つけた同地より下船した一等船客のケイト・オデルというおばさまが連絡艀からタイタニック船体を見上げるアングルでとった写真では後部救命艇は完全に半分飛び出している。
そう、たぶんこの後者のセッティングは航海モードだったのではないかと予想する。出航前4/8に設計者のトーマス・アンドリュースが最終就航チェックをしてる。そのときにセッティングを変更したのではないか?と推測する。
10年前、こんなどうでもいいようなことに気をやんでたんですね(笑)。
最近1/100スケールのMuseumモデル詳細写真をみましたが後部ボート設置位置のデッキに2つの位置にボート止め具が置かれていました。
週刊タイタニック、一勝一敗の引き分けか。
TITANICで遊ぼう(不謹慎かな.......)
このタイタニックを製作していた時、KATOのNゲージ用フィギュアをみていてふと思いつきました。
「これってTITANICの映画名場面の再現につかえるんじゃないか?」
少しスケールに難があるものの駅員のフィギュアNo.24-201/202は当時のホワイトスターの上級船員の制服姿を彷彿させます。
まあ映画の有名な場面と言えば、夜の船尾でのジャックとローズの出会いの場面、プロムナードデッキでの唾飛ばし、そしてこの船首のシーン位ならできるかな?と勝手に盛り上がって当時まずは船尾のシーンを再現してSNSにアップしたものです。
タイタニックの修繕を行ないながらそんなことを思いだし、7号館で展示中のDisney Figuarine用に購入したもののそのままにしておいたNゲージ用フィギュアー山盛りセットから男性、女性そして子供と仕分けしてジャックとローズに見立てられそうなプロポーションのフィギュアをピックアップしました。
これをベースにちょいと加工してポージングと塗装。オーディションも合格と相成りクランクアップです。そのカットシーンを掲載しましょう(笑)
あ、デカプリオは金髪だった.............
2020.06.28追記
最近1/400スケールプラモデル用のレジンフギュアキットが出てますね。
Congratulations!、Mr. DiCaprio. オスカー受賞記念(なんちゃって)