<2016.06.25 写真を差し替えました>
はじめに
キット作成紹介記事の初回としてトム・クルーズ主演のSF映画OBLIVIONに登場するBubble Shipの作成過程を綴っていきます。
このキットはFantastic Plastic Modelsが2014年の夏にリリースした1/48スケールのレジンキットです。機首のバブル状グラスコクピットの仕上がりが映画に登場する実機モデルとは少し異なり実感が落ちるのですが全体のフォルム、コクピット内部もよく再現されています。
多少の手間はかかりますが映画のシーン同様に機首上下に設置されている2基のキャノン砲ターレットとコクピットシートが同期する全方位回転機構や機体左右のエンジンポット、ラダーの可動ギミックも再現できるように考慮されています。
着陸脚についても着陸時の展開状況と後方にたたんだ飛行状態の2形態を選択し、切り替えて取り付けすることも可能です。
ただこのメーカーの組立説明書はステップ毎の解説というよりは幾つかの組立段階写真を参考にする簡易なものですので初心者の方は戸惑うかもしれません。
箱絵にも多少スキルが必要だと書かれています(笑)。
今回は基本的に自主改造となるコクピット、エンジンポット及びラダーの可動ギミックの搭載にチャレンジしてみました。
Step 1:準備
キットはレジンキャスト製の主要パーツと強度を考慮したホワイトメタル製の降着装置パーツ及び塩ビシートのバキューム製ウインドパーツから構成されています。
主要パーツのレジンはバリも少なく、切削・穴あけはし易いのですが少し脆い素材の様で、少々シンナー系溶剤にも弱いようなのでパネルラインのスジ彫りや塗装には気を付ける必要があります。
パーツ数はさほど多くありませんがリストがありませんので万一のために最初に細かいレジンパーツのパック内容物をチェックなさることをお勧めします。
当館入手のキットにはパーツの欠品・欠損等はありませんでした。
残念ながらパーツ内容一覧の写真を撮り忘れました。
次いでレジンキット組立の定番作業であるパーツ表面に残っている離型剤除去のため、キャスト製パーツをまず中性洗剤を加えたぬるま湯につけ表面を軽く擦るように洗ってから乾かします。
この表面洗浄が不十分ですと塗装時にハジキ等のムラが出ますので十分に行ってください(釈迦に説法ですね)。
Step 2:エンジンポッド/ラダー可動ギミックの実装
塗装前にまず本体左右の球体エンジンポッドを取付ける腕部の中心に径3.0mm/深さ10mmの穴をピンバイスで開け、そこに真鍮チューブ外形3.0mm(内径2.0mm)を埋め込み仮取付けします。
真鍮製のチューブや棒は模型店やAmazon で簡単に手に入るでしょう。チューブや棒の内径/外径はこの記事で使用したものに限りませんがまあ強度・作業のし易さから適切な選択と思います。あくまで推奨ということで…..。
次いでエンジンポッドの水平回転軸となる位置にも先に使用した真鍮チューブの外形に合せた径の穴を貫通させます。ここでは3.0mmです。
回転軸となる先の真鍮製チューブにエンジンポッドを挿入し、少しきつめでもポッドが回るようにエンジンポッドの貫通孔を調整します。
この段階で本体ボディーの腕左右に外径3.0mm(内径2.0mm)の真鍮製チューブを瞬間接着剤で固定するのですが、固定前にエンジンポッドを差し込み、その反対側のラダー取り付け部からは頭を出さない様に(寸法足らずの状況で)真鍮チューブの長さを決め切断しておきます。
長さが決まった真鍮チューブをボディーに接着固定します。
この真鍮チューブの外側を回転軸としてエンジンポッドが可動し、外径1.8mm真鍮棒をつけたラダー部をこのチューブ内部に差し込む形で別途可動出来るようにする半2重シャフト機構とします(写真2)。
ラダーに取り付ける真鍮棒の長さはエンジンポッドの幅程度で十分です。
次いで真鍮棒及びチューブ等の可動部になる部分をマスキングしてからパーツをスーパーホワイトまたはキャラクターホワイトで塗装します(写真3及び4)。
今回エンジンポッド片方の噴射口となる後部部分にキズやへこみがありましたのでアクリルパテ(タミヤ製)で修正し、精密紙ヤスリで修正しました(写真5及び6)。
塗装(修正後)後にマスキングを剥がし、本体とエンジン/ラダー部を仮組立すると写真7のようになります。
尾部のローターはフレーム内部をシルバーで塗装します(キットについている説明図の写真を参考にしてください)。
写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
写真7
Step 3:機首フレームの加工
コクピットフレームのパーツ全体を電動ルーターでポリッシングし、特に後部のウインドウ取り付け部となる内側に溝を削り込んでおきます(写真8)。
次いでフレーム天井及び底部の円形部中心にキャノン砲の取り付けピンが貫通して回転可動できるようにピンバイスで穴を開けておきます(写真9)。
写真8
写真9
Step 4:機首内部コクピット・シートの加工
シートに回転用ジンバルフレームを接着します(写真10)。
機首フレーム内でこのシート部がスムーズに回転できるように外フレームと干渉する部の擦り合わせを十分にしておきます(写真11)。
このようにシート背面部を相当切削整形する必要があります(写真12)。
仮組すると写真13のようになります。
写真10
写真11
写真12
写真13
Step 5:機首ウインドウの切り出し
塩ビシートからウインドウパーツを切り出します(写真14)。
少し大きめに切り出し、後で取り付け固定部との調整をします。
ここはこのキットの一番ダメな部分でしょう。
映画のモックアップモデルは機首がグラス製の完全球体で、その内部にフレーム構造が張り付けられている様な設計です。各ウインドウをフレームに取り付ける様な形ではありません。
外から見てウインドウパーツがフレーム内側にへこんだ位置で取り付けられていると実感が損なわれます。仕方がないので取り付け部の内側部分を極限まで削り込み張り付けるようにしました。
また後の工程になりますがフレームの塗装はメタリックブラックにして光沢を上げると少し見栄えが上がるようです。
Step 6:コクピット取り付け部の組み立て塗装
バブル機首と本体を繋ぐジョイント部を押込みながら取り付け(少しきついです)、ジョイント部とボディー全部をまずメタリックブラックで塗装しておきます(写真15)。
後でわかったのですがこの部分はシルバー系だった様です。後の工程で重ね塗りしました。まあこれはシルバーの見栄えアップの下地処理として功を奏しました。
写真14
写真15
Step 7:脚部の組み立て
まずは降着装置の組み立てです。
強度を考慮してレジンパーツではなくホワイトメタル製パーツの方を選択しました。
まず各パーツのバリ、パーティングラインを精密ヤスリと電動ポリッシュで磨き上げ、溶剤で表面を清浄した後、エポキシ接着剤でくみ上げます(写真16及び17)。
Y字の開き具合やこの上に載せるボディーの水平が出るように位置決めをしながら組上げる必要がありますので瞬間接着剤で一発勝負するよりいいでしょう。
そのあとに全体にメタルプライマーを吹き付けておきます。
この段階における各パーツを並べたものが写真18です。
写真16
写真17
写真18
Step 8:コクピット部の塗装
基本的にブラックとホワイトのツートンカラーです。
各部の塗り分けは映画のポスターや映画のモックアップ写真等を参考にしました。
シートベルトはラインアートテープで再現したのですが取付け部となる切込みの位置を間違えました。実際はヘッドレストの中心あたりから引き出されています(トライなさる方はお間違えなきよう)。
シルバーで塗ったコントロ-ルペダルも可動です(写真19)。
コクピット内の回転ジンバルが延長された形のコンソールのパネル面は白(姿勢表示儀は下半分が黒・上半分はブルー)、外側はジンバルフレームと同じブラック等で適当に塗り分けます。
最後にこの部分がシートの回転と共にコクピット内で干渉しないように位置決めして接着します。
シート部をフレーム内部に収めた写真が20、21です。
写真19
写真20
写真21
Step 9:機首ウインドウの固定
まず背面4か所のウインドウを白化の少ない水性透明アクリル系ジェル状接着剤(コニシのアクアリンカーを使いました)で固定します。
次いで正面の大型曲面ウインドウを慎重に位置決めしながら大きさや形の修正を繰り返して最終的に接着します。
固定したウインドウの内部を綿棒に湿したアクリル塗料薄め溶剤で清浄化し、よく磨いておきます。両サイドのバブルドアは最後に取り付ける形となります。
Step 10:コクピットの設置とサイドドアの取り付け
先のコクピットを機首内部に収め、上下のキャノン砲を差し込んでコクピットのジンバル部に少量の瞬間接着剤で慎重に接着します。
両サイドのバブルドアは1mm幅のグラフィックテープで端部から2mm程度内側にマスキングを施し(写真22)、端部をシルバーで塗装してからマスキングを剥がします(写真23)。
これで両サイドのドアができましたので機首に固定します(写真24、25)。
写真22
写真23
写真24
写真25
Step11:最終アッセンブリ
脚部中央部を白で塗装し、着陸脚はシルバーとメタルブラックで塗り分けます。
設置部パーツを取り付け、同様にスーパーホワイトとメタルブラックで塗り分けます。
先に述べましたが機首部を取り付ける前にブラックで塗装したジョイント部とボディー前面の三角型下部にシルバーを重ね塗りした後に機首を差し込みます(差し込みシャフトにマスキングテープを巻き付けてから固定せず差し込ます:写真26)
脚部をボディーに接着固定します。
飛行形態のものと取り換えることもできますが着陸状態にすると機体がぐらつきますのでここはエポキシ系接着剤で完全固定しました。
脚部固定後に境目の部分を帯状にブラックで塗装します。
最後に背部の黒のラインのデカールを張り、乾燥後にアートナイフでアンテナ取り付け部を開口してアンテナを接着後、ブラックで塗装します。
Step 12:デカール貼り付け
デカールは個々切り出しておきます。デカール自体が非常に薄く繊細なので少し余白部を残した方が張り易いでしょう。
薄く透明度が高いのであまり余白部は気になりません。
10秒程度水につけた後、すぐに引き上げてまずはペーパータオルかティッシュの上で余分な水分を除去します。
ピンセットで台紙ごと指定箇所にもっていき慎重にデカール部をずらしながら位置を決め、綿棒で押しながら気泡・シワを抜きながら固定します(写真26、27及び28)。
最後に薄くクリアー塗装してもいいのですが今回は見送りました。
ラダーやエンジンポッドはこのように別々に位置決めできます(写真29)。
写真26
写真27
写真28
写真29
久しぶりのキット作製とあって出来はいまいちでしたが、これにめげずに次もレジン製ガレージキットを作ってみたいと思います(いつになるやら)。
Bubble Shipの修正・追加作業
次もレジンキットをと言っておきながら一年以上もたち、DeAGOSTINEのMilleniamu Falcon製作にハマってしまい、その製作が一段落したところ。
そんなときにOBLIVIONを見直しましたらまだまだ修正点があることに気づかされ、早速追加改造へ。
とはいっても些細な点ばかりなんですが...........
①コンソールの上にボブルヘッドを載せる(キットには付属せず)
②コクピットのラダーペダル裏側は銀ではなく白
③三点支持脚の金属支柱部はメッキしたような美しいシルバー
加えて経時変化で堅くなっていたコクピット内シートとターレットのシンクロ機構を再度調整しその他機体、ラダー等の塗り分け部分の墨入れ等を追加しました。
ちょっと寸法が大きめですが白ジャケットのボブルヘッド(首振人形)を自作し、コンソール上面に載せました(ただし首は振りません)。
ラダーペダル裏も白に再塗装です。
ペダルは個々可動式なのですが外れやすいので軽く点接着してしまいました。
コクピット内部のターレットシンクロ機構をスムーズに可動するように再調整。
バブルキャノピーのサイドドア部を何度も付け直ししていましたらすこし汚れてしまいました........
枠等を再塗装で修正します。
シルバーの塗装部分をメッキシルバーNEXTで再塗装。
まあ少しは輝き方が変わったかな?
映画では完全にクロムメッキですね。フィニッシュシルバー(箔)を使ってみようかな?
サイドドアも塗装を落としてポリッシュ後、枠の作り直しです。
今回は0.5mmのアートラインテープを使って実感を上げました。
せっかくですからアクリルボード等でフライトデッキ風の飾り台を自作してみますか.......
フライトデッキ上のマーカー類
映画のカットを参考にドローイングソフトでこんな感じのデッキを作図してみました。
デッキの手すり
A-4サイズのアクリル板によるモデル展示台を使ってステーション49のフライトデッキのイメージを出します。
先の作図パターンをカラーインクジェットプリンターで出力しデッキ部を切り抜き、2枚のアクリル板に挟んでいます。
あとはデッキの手すりの上面部をアルミ板で切り出した後、0.8mmのドリルでアクリル板上面淵部の支柱取付位置に数ミリの凹を作り(片側五か所)、同じく0.8mmの真鍮線を25mmでカットした物を10本程用意します。
これを一本ずつ穴に取付け、最後に手すりを載せています。接着は少量の低白化瞬間接着剤で。
ちょっと前部(支柱のない部分)が長かったかも。