No.10 莎木(シェンムー) 龍鏡・鳳凰鏡の作成
鳳凰鏡
涼の父親、巌の若きころ修行で訪れた中国から持ち帰った龍と鳳凰が彫り込まれた一対の謎の石鏡。
今回はシェンムー一章・橫須賀からシェンムー2において重要なアイテムとなる涼の持ち物「鳳凰鏡」を作ってみました。
3Dプリントモデル
先にギャラリー第3展示室でご紹介した米国のデザイナーさんによるPBT製の出力モデル。
今回これを加工し、彩色を施すことにチャレンジしてみました。
ゲーム内ではこの鏡は「洮河緑石」という貴石で作られた石鏡とされています(銅鏡ではないのです)。
この3Dモデルは1/1スケールとされていますがゲーム資料等にも実寸法は明確にはなっていなかったと思います。
ただ涼の掌内で各指の第一関節内側に収まる様な大きさで描かれていた記憶が。この大きさについてはちょっとした発見がありました。
一章横須賀がリリースされた当時、講談社ゲームBOOKS攻略本の表紙の中央にこの鳳凰鏡が描かれていたことを思い出しこの表紙絵に今回のモデルを置いてみたところほぼピッタリ。うーん、これが取り込みデータ出典なのか.......?
ただ鏡の淵縁の厚みが大きく異なっており、モデル外周を削って一回り小策するとぴったりになるようで(モデルを相当削る必要がありますね)。
まあこの表紙絵も鏡の図柄の彩色や全体の時代汚しの重要な参考資料になると思います。
まずはこの鳳凰鏡から..........
講談社の攻略本表紙(当時もの)
モデルを置いてみると......微かに大きいか?
第一回 モデルの前処理過程
裏面の研磨
まずは耐水ペーパーで裏面を根気よく研磨して平面出しを.......
エッジ落とし
素材が強靭なプラ素材ですから電動ルーターに取り付けた各種ピットでシャープな各部のエッジを根気よく処理していきます。
う~ん、それにしてもこの鏡の淵の幅を半分以下にするのはえらい労力が必要............。
とりあえず決断を最終まで保留!(たぶん実行しないだろう........)
鏡縁内側の処理
このモデル、龍鏡は比較的出力精度が高いのですが鳳凰鏡はこの様なバリ様のキズや突起、穴が多めです。
穴にはゼリー状の瞬間接着剤を充填し、キズやバリは電動ルーターで大まかに平坦化を行ってから耐水研磨紙で根気よく平滑化しました。
処理の途中経過です。
ただし鏡のボトム部に走る平行線の溝は洮河緑石に見られる文様の一つさざ波模様として利用することも出来ますね。
まずはこんな感じで。
中央の玉部の加工
鳳凰鏡は赤の玉石、龍鏡は緑の玉石が埋め込まれた形になっています。
残念ながらこの3D出力モデルは御覧のように径を暫時狭めた円板の積み重ね形状で構成されています。
ここはスパッと落として、ガラス玉(透明プラ玉)半分に載せ換えるか、研磨後に彩色するかのどちらかでしょう。
切り落として透明素材の模造玉石を載せる場合は直径14㎜の赤・緑の玉を調達する必要があります。以外と適当なものが入手難しいんですよね。
腕に自信のある方はキャスティングで玉部を作ってしまうのも手ですね。
電動ルーターでのグラインディング
800番研磨紙ポリッシュ後に瞬間接着剤を塗布
次回は塗装工程へ
第二回 塗装過程
彩色用下地剤の塗布
まずは裏表全ナイロンプライマーを全面塗布しました。
ベース塗装は......
先にこの鏡は銅鏡ではなく石鏡という設定とかきましたが攻略本の表紙絵を参考にして青銅色(メタリックカラー青銅色:ArTec)をベースにしました。
この水性塗料はベース(金属顔料分散塗料)を塗布後に発色液を重ねて塗ると色々な錆効果が得られる便利な塗料です。
写真は塗料の使用法に書かれている手順に従い、薄くベース塗料を塗装・乾燥させたもの(二回処理)でまだ錆発色前の状態です。
発色は更に顔料塗料を塗布後、未乾燥状態で発色液を被せる必要があります。
下の写真はオリジナルのままの龍鏡との比較写真です。
正面の比較
裏面の比較
飾り部の塗装①
錆発色塗装をする前に鏡内の鳳凰や中央の飾り部を金で塗装します。
鳳凰の彫り部側面も丁寧に金塗装し底部に被った金塗料は部分は爪楊枝で拭うように除去しています。
飾り部の塗装②
玉部の塗装はまずドーム部をメタリックのアルミで塗装し、乾燥後にクリアーレッドを厚めに重ねています
飾り部の塗装③
鳳凰の翼部の処理はクリアレッドやレッドゴールドを載せたり部分的に墨入れのように流し込んでいます。
尾の部分やボトム部は更にタミヤのウェザリングマスター・ススを汚すように塗布。更にメッキシルバー等のメタリックを部分的にハイライト状に落とした後に溝部に墨流しを。
最後に鳳凰の目にクリアーレッドを落としました。
飾り部の塗装④
最後は翼部に更にメッキゴールドを部分厚塗りしました。
ボトム部平面のスス汚しは流れるように一方向に向かってウェザリングを施し、鏡縁部には部分的に錆発色塗装(石鏡なのに.......)も追加してマ-ブル風の模様としました。
よし、これでジーンズ後ろポケットに入るか確認だ(笑)
最終回は龍鏡を。
第三回 龍鏡の作製
龍鏡は........
同じ様に3Dプリントモデルのバリやエッジ落としを。
そしてプライマーの塗布、次いでベース塗装を済ませ..........
最終仕上げの塗装を。
龍の胴体は背部分の金、その下部は青銅色の地色に下面に向かうに従ってスス汚しを強めに処理することで丸みを帯びた疑似立体感を出します。
中央の緑の玉石も鳳凰鏡と同じ要領でアルミメタリックの下地塗装後にクリアのグリーンを。
最後に鏡の縁等を黒や白で薄く汚す要領でマーブル風の加工処理をしました。
うーん、画竜点睛、大事な目の位置はここ?
(なんかその上の窪みが...........)
PS4版のShenmueⅠ&Ⅱやるべきか、やらざるべきかそこが問題...........
鏡の裏面をリアルにしよう!
灯台下暗し.........
PS4版シェンムー一章横須賀をプレイしていて鳳凰鏡を見つけた時の画面キャプチャーです。
くそ、ドリームキャストの保存データでも保有アイテムリストで見られたじゃないか......
折角画像情報が得られたのですからここは追加加工します。
まずは石鏡の白濁部を修正しやすいエナメル塗料の白とタミヤのウェザリングマスター白を置いていきます。
次いで鏡の縁部のマスキングを。
石鏡の青みがかった部分をタミヤのウェザリングマスター青錆で再現していきました。
ウェザリングを固定するために縁部のマスキングをしたまままず艶消しクリアーを吹きました。
クリアーが乾燥後にパールホワイトを薄く部分的に濃淡を出して(縁部は少し強め)に塗布しています。
写真は乾燥後にマスキングを外した状態です。
後は側面部を裏面、正面を繋ぐように汚しパターンを追加しました。
少しはゲームの画像に近づいたでしょうか..........
よし、後は緑と黒のツートンカラーのデイバックだ。
18年前には極めてデザインが近いデイバックを上野の仲見世で見つけて大喜びしながら背負ってたんですが。数年前に棄てちゃって........