先に手頃な大きさの集文社版同美術館ペーパーモデルを使いジオラマを製作しました。
当時一階部分だけはその館内レイアウトの再現にチャレンジしてみましたが、2階3階フロアー等には手が出せませんでした。
その後このキットの存在を知り、いつかチャレンジしようと企画を温めていました。
このペーパーモデルについて
開業当時の美術館本館と結局実現しなかった併設講堂をル・コルビジェ自身による基本設計図(1956~57年)を基にしキット化されたものとされ、内容はA4板紙印刷シート18枚に同じくA4PET印刷シート2枚のボリュームで美術館本館の1階から3階までの館内構造を再現できるようになっています。
ただ開業当初の美術館は現在の姿(2007年改修)と比べると特に一階部分の正面玄関が1スパン分後退した形で正面ピロティーが広くなっており、その分室内床面積も小さく、内部レイアウトも全く異なっていました。
美術館内部を再現できるキットとしては組み立て説明が少ない紙面でまとめられているため少々不親切というか解りにくいところもあり、また一部に説明不足やパーツへのミス印刷?も散見されます。
そこで今回は別の資料集に載っていた当時の設計図やその付記記述等を参考にしながら実際に行った修正や追加加工等の補足をしながら作成過程をまとめていきます。
第1回 敷地の準備とパーツ改良の下準備
敷地の作製と謎の切り抜き部分
敷地用のシートはA4版で4枚(①から④)。
これを繋げると美術館本館とその前面広場の敷地になります。
今回は少し大きめなA2版の片面糊付きスチレンボード「のりパネ」を使いました。
シートと組立説明書には19世紀ホール前半分を切り抜く様になっていますが設計原図では面一のフロアーになっています。
もう少し調べてから元に戻すかどうか決めようと思っていましたら組立説明書の最後の最後に括弧囲いで「完成後に19世紀ホールを覗くための切り抜き」と書かれていました。
モデルを作製する前の下準備
(オリジナルパーツ類の代替・改修)
コンクリート柱
このモデルでは板紙パーツを丸めて円筒柱(2mmの竹ひご等を芯にすると良いとされています)を作成します。
この円柱が貫通する2Fフロアーには4mmポンチで打ち抜くと良いと書かれていますが、円柱径は4mmより細い様な気がしましたのでまず1本試作してみました。
板紙パターンの糊付け部は正確でしたが出来あがった柱の直径は3mmジャストでした。
そこで手抜き策として3mm径のタミヤホワイトプラ丸棒で代用することとしました。
プラ棒を切断したものはインシグニアホワイトかライトグレーで塗装しておきます。
備考
後ほど記述しますが40mmの柱の使用法には注意が必要です。
組立説明図での説明が少し不親切なため間違えて接着してしまう可能性があります。
出来れば66mmを29本用意しておいた方がよいでしょう。
一階ガラス壁や手すり部の改修
一階の律動ルーバーが設置されている全面ガラス壁、スロープや階段のスチール製手すりは板紙印刷されたパ-ツで用意されており、クリアーシート印刷は正面エントランス部分のみです。
そこでこれらのパーツシートを複合プリンターでスキャニングし、インクジェット印刷対応の透明PPシートに印刷しました。
このクリアー印刷パーツとオリジナルの板紙パーツを適時組み合わせ、可能な限り透明パーツ化して置き換えることにしました。
律動ルーバーの立体化
板紙パーツのルーバー部の印刷パターンを利用して1mmプラ丸棒をルーバーに見立てて並べていくことにしました。
ガラス壁面部の高さ幅は25mm。上下に3mm角の凹型プラ棒をサッシのようにおいてルーバー部を固定することに。
①まず1mm丸棒を23~24mm長で多数切り出しておきます。
写真の様な治具を作ってサクサク切り出していきました。
②板紙パーツの上に細い両面粘着テープを置いて両端をテープで固定。
上面だけ粘着テープを剥がし、この上に切り出したルーバーパーツを
並べていきます。
③並べ終わったルーバーのパターン上下に凹型角棒を付けます。
凹部にルーバー部を差し込む様に載せ凹部に液状プラ接着材を流し込み
固定します。
(2mmのL型プラ棒に固定した方がより実感が上がるかもしれません)
④板紙パーツのクリアー部にこのルーバーを付けます。
丸棒切り出し用治具
丸棒の切り出し
丸棒の並べ方
律動ルーバー完成
このルーバー部も全面インシグニアホワイトまたはライトグレーで塗装しておきます。
律動ガラス壁(水平連続窓)の作製
律動ルーバー部は全面ガラスと組み合わせた律動ガラス壁と呼ばれ美術館の外壁面に採用されています。
残念ながら当該キットはPETシート印刷のアイデアを採用しながらこの部分は板紙印刷になっています。
オリジナルモデルでは一階内部は正面エントランス部以外見えない設計のためでしょう。
ここはガラス壁を模したクリアーシート仕様としたいところです。
そこでガラス壁面部はオリジナルの板紙パーツ上の律動ルーバー部分の左右を5mmづつ残して切り抜き、裏から自作のクリアーフィルム印刷パーツを貼り付けておきます。
接着はすべて両面粘着テープです。
律動ルーバー、オリジナルパーツ利用の窓枠、
そして自作ガラス壁パーツ
自作の律動ガラス壁
照明ギャラリーのパーツ
2階回遊式展示場の上部ガラス張りの張り出し空間は屋上から取り込んだ自然光を回廊の照明として活用する照明装置(現在は自然光取り込みは廃止され、LEDの人工光に切り替えられている)です。
パーツはクリアシートに印刷されたものを切り出すタイプ。
このパーツの裏側(実際は印刷面の裏)からパールホワイトを軽くスプレーして光を柔らかく通すような半透明状の擦り硝子のような感じにしておきます。
またその縁を光沢シルバーのアートラインテープを貼って実際に近づけています。
こんな感じで組み込まれます。
さて、組立作業に必要な改修パーツ類の準備が整いました。
次回は一階部の組立に入ります。
第2回 一階部分の製作
床材再現
敷地の組み上げ(工程1)直後に前もって採寸しておいた一階スペース構成と採寸寸法通りに切り出した各種建築模型用フローリングペーパー(3mmポンチでコンクリート柱の位置も打ち抜き済み)を一階の壁面パーツ類取り付け完了後に置いてみました。
一階部壁面取り付け
一部自作パーツへの置き換えを含め説明書の工程2までの作業を終え、一階部が完成したところです。
エントランス部床は当時の写真から煉瓦タイルのような素材を敷き詰めた様な模様でした。ただし白黒写真ゆえに色は判然としません(笑)。
19世紀ホール等は木調フロアー材だと思いそれらしいシートを仮置きしていますが当時や現在の写真を見直したところエントランスと同じタイルパターンでした。
現在の写真ではこのタイルも煉瓦色よりも木調色系の様ですが手持ちのベースシートに適当なものがなくエントランスのパターンシートを重ね置きする事としました。
エントランスの受付台
当時の写真では受付台はキットオリジナルの様な直立仕様品ではなく、逆ハの字に傾斜したモダンなコンクリート製?の受付台だったようですので組み上がった板紙受付台を少し変形させるように整形して設置しました。
美術館入口
オリジナルPET印刷パーツには入口部のスウィングドアしか印刷されいません。
実際は強化ガラスのつなぎ目?か黒いライン状のパターンが規則的に配置されています。
まあここは適当に(無責任な)。
美術館一階裏です。
こうして斜めから見ると律動ルーバーの濃密パターンがより映えるように思えます。
見る角度によってルーバーで構成された壁面の表情が変化していくわけですね。
さすがル・コリビジェ。
残念ながら現在このルーバーはほとんど撤去されていしまっています。
折角ですから当時の図面を参考にして一階19世紀ホールを囲むようにあった収蔵品倉庫や備品置き場、準備室等の内部仕切りを追加していきましょう。
一階内部の追加加工
一階のメイン展示場である19世紀ホールは完成後もエントランス等から一部がみられる様になっていますので室内壁やスロープの色彩を整えておきます。
最初、壁はオリジナルの板紙のままとする予定でしたが床にフローリングシートを置くと壁もそれなりにしたくなります。
開館当時と現在の色調が同じかどうか不明ですが現在の館内壁はホワイト系で照明の効果でクリームから薄茶に見えているのでしょう。
また館内の床と壁の見切り材(実物写真ではこげ茶色系のようです)を1mm幅の黒色アートラインテープを貼り付けて再現しました。
壁と床のシートの貼り合わせ部の乱れを隠せますし、壁縁がハッキリとします。
19世紀ホール
改めて19世紀ホールの床はフローリングからタイルパターンに取り替えました。
エントランス
エントランスやクロークの受付台にスモークブラックの塩ビ板で天板を造って置いてみました。
またエントランスとクロークの境にはガラス製仕切りとドアを模したクリアパーツを追加設置してエリアの区分けとしています(ここもちょっと配置が違うのですが)。
1階後方のサービスエリア
開館当時は19世紀ホールを囲むように美術館の付属施設が入っていた一階後方エリアを当時の設計図や写真を参考に仕上げてみました。
収蔵庫
適当な収納キャビネットやリフトを板紙で作り、柱に干渉しないように配置しています(自作キャビネットが少し大きめでした)。
展示準備室
設計図に記載されている8台のテーブル?を板紙とスチレンボードで適当に作り、1スパンに2基づつ置いています。
チェアーは4mmのアクリルのクリア棒を5mm長で切り出したものです。
ちょとテーブル等がオーバースケール気味でした.......。
今はここがレストラン「睡蓮」に模様替えされていますね。
コの字型の新館に囲まれた中庭を望むためか律動ルーバーは取り払われてしまっています。
一階正面螺旋階段(工程5)
パ-ツは先の透明フイルムにスキャン印刷した自作パ-ツにオリジナルの板紙パ-ツを部分的に重ねて貼り合わせたものを使います。
組み上げるとこんな感じになります。
一階部上がり口右側の手すりはキットにはパーツ化されていませんので自作で付けています。
現在は各フロアーで扉付きのグラスウォールで覆われて封印された状況ですが屋上まできちんと残っています。
第3回 2階展示回廊の組立
2階床の製作(工程3)
⑦、⑧の2枚のシートを組み合わせて2階床を作ります。
次いで19世紀ホールや正面螺旋階段部をくり抜き、コンクリート柱の通し穴を3mmポンチで(指定の4mmにはしませんでした)打ち抜いておきます。
この時、1階のように床材シートを敷き詰める場合にはまず裏面に2階回廊床のリノリウムの様な風合いの床材を模した濃い色のペーパーを仮貼りしておき、一緒にポンチ抜きを行いながら、1階からの立ち上がり壁や2階床の独立展示壁のパターンも切り込んでおいて後で床材シートが簡単に被せられる様にしています。
床材シートを床パーツ裏に付けたまま独立壁が立つ位置の両端部だけ虫ピン等で穴を開け裏に張り付いている床材シートにもその痕跡を付けます。
あとは床シートを外してカッターでその2点間を切り込みを入れておけばOKです。
ここで注意したい点を2つ記しておきます。
2階床シートには長さの異なる柱を立てる位置について識別情報は記載されていません。
1階床に記載された識別記号を頼りにするしかありませんので位置情報をメモしておくと良いでしょう。
写真はその情報を写し取ったもので
青の剣菱印が44mm / 黄色の星印が40mmの円柱を差し込む場所です。
更に注意を要するのが40mmの柱です。
この2本の柱は直下の一階の外壁パーツの糊しろ部と干渉します。つまり床に穴を開けずに2階床に直接取り付けるのが正解です。
一階床にこの40mm柱のみ位置の記載がなく、2階床には逆にこの40mm柱のみの識別記号が印字されていますので印刷表示には間違いではないのですが.......
しかし原図を見てしまうとこの2本の柱も明らかに一階からの通し柱ですから勘違いしてしまう人もいいると思います。
さほどの加重はかかりませんので問題は無いのでしょうがここはポンチ抜きしておき66mm柱に差し替えてもいいと思います。
裏面に貼付けて床パターンを写した床材紙を表面に載せた状態です。
ここでは緑がかった黒色(もっと艶のあるものが欲しかったんですが)
のカラー紙です。
ピロティー部の2階床裏の加工
少し先の話ですが後ほど2階床を載せた後に貫通柱を設置する際、裏側にセロテープを貼っておき、再度一回り小さい穴をポンチ抜きしておくとテープと柱との表面摩擦で床を無接着状態で仮支持できます。
ピロティー部における地面と2階床のクリアランスを20mmで統一できるように調整しながら瞬間接着剤を垂らして調整固定出来ますので楽でした。
館内部分は立ち上げ壁ののりしろで床が支持されますので立てる柱の傾き等の調整だけで済みますがそれでもすべての柱裏にセロテープの裏打ちをしておくと作業が楽になります。
2階内壁の設置
2階壁面パーツを取り付け、床シートを被せるように置いた状態です。
外壁の準備
2階の床に固定される4枚のメイン外壁は今回もモジュロールパネルの凹凸を付けるために2枚重ねとしました。
この位のスケールならパネルを個々に切り出せますがやはりその根性はなし。ライン状に切り出して重ねています。
左はオリジナル、右が2枚重ね処理したものです。
窓枠を組み立て、組込みんだ外壁4枚です。
光取りと搬入口を兼ねた大型窓のグラス部はスモークブラックの塩ビ板を裏置きするか同色のスプレーを吹き付けることを予定していましたが2階内部を見せるためにオリジナルのままにしようと思っています。
外壁取り付け
2階部分の展示壁にも壁紙シートを貼っておきます。
これを1階部に仮載せしてみますがどうなることやら........
律動ルーバー部が外壁内に収まるかという懸念もギリギリですが干渉せずに外壁内に収まりました。
手間がかかりましたが律動ルーバーを立体化して良かったと実感です。
後ほどルーバー端を1mm厚のプラ板で目隠し処理しておきます。
正面
右側
後方
左側
2階フロアーの設置と内装追加
(工程4から7)
手順は少し前後しますがまず2階部を1階に載せ接着固定します。
内壁への壁紙貼りを終えてから通し柱を立てていきます。
写真の透明の角棒は外壁のゆがみの癖直しと貫通コンクリート柱の整列度合いをチェックする治具です(まだこの時点では星印の40mm柱の取り付け留意点に気付いていませんでした........)
2階床裏に張り巡らしたセロテープによる柱の仮止め効果がここで役立ちます。
正面ピロティー部のクリアランスや整列程度の調整を十分行いながら順次柱を固定します。
第4回 3階部の製作
3階床の仮置き(工程8)
2階床の準備時と同様に⑪、⑫のシートにて三階フロアも準備しておきます
写真はオリジナルの床のみ仮置きしたところです。
3階壁面の取り付け
壁面には1階,2階と同じ壁紙シートを使用し、床面はブラウンのペーパーを貼り付けています。
まだ旧館長室と3カ所の階段は取り付けていません。
照明ギャラリー
2階回廊上部に設置される照明ギャラリーのガラス裏に薄く塗布したパールホワイト塗装で照明効果も実際の館内写真に近づきました。
天井裏にテープLED を貼って点灯する様にするといいんですが............
館長室
現在は非公開となっている館長室。曲面を多用したデザインのこの部屋は写真からすると黒や焦げ茶の配色が基調のように見えます。
このスペースのみ壁や床のシ-トの色味を変えています。
内部の完成
まだ館長室はセットしていませんがこんな状況に。
コンクリート柱マークの取り付け
後で載せる屋上(天井)梁部がこのマークの黒丸に架かるようにここの位置は微調整しました。
おまけ<2階及び3階完成までの追加作業>
展示品
外壁四方の大型窓からは2階フロアー内が見えますので展示に使われている内壁には絵画らしきものを飾りたくなります。
19世紀ホールの彫像はNゲージフィギュアを改造して作りましょう。
西洋美術館の所蔵絵画の準備
カタログ類から展示用絵画の画像をカラースキャンし、その画像をフォトエディター等で5~10%サイズに縮尺。
カット&ペーストでPowar Pointのシートに再度貼り付けてから更に個々の寸法の調整をします。
さらにその画像に図形挿入で額縁やマットを付け(今回は単純四角で)額縁内には各種色や木調テクスチャーを埋め込んでから1㎜の糊付きスチレンボードに貼り付け、切り出したものを展示用絵画としました。
展示用絵画の出来上がりました。
さあ、仮置きしていた3階部を一端取り外して2階回廊の壁にテーマ別に絵画を置いていきます。
展示準備が完了しましたら再度3階部を固定して大型窓から内部を見てみます。
別の窓から........
後で19世紀ホール等に展示されている彫像も作って置きますか.......
勝手にモネコーナーも.......
彫像アイテム作成中......
当時正面ピロティー、19世紀ホールに展示されていた彫像類を準備中。
数がそろいましたら美術館内外に配置してお披露目を(笑)
第5回 屋上の製作
本館天井の仮置き(工程9)
⑪と⑫の二枚のシートを繋いで天井(屋上)を作ります。
四辺縁の排水樋、採光天窓屋根、屋上出入り口と19世紀ホール上の三角大天窓を取付けて行きます。
天井のネオジム磁石固定
気をつけていたつもりでしたがやはり天井部を載せるとゆがみ等で天井のどこかが浮き上がります。
そこで四隅の柱のトップに径5mmx1mm厚のネオジム磁石を接着、その位置に呼応する天井裏にセッタープレートを接着して四隅だけの磁石固定方式を導入しました。
ホール天窓
天窓ガラス内側のメンテナンス用?キャットウォークを住宅模型用鉄柵印刷シートを流用して付けてみました。
天井部の完成
取り敢えず天井部も完成です。
磁石固定で天井もきっちりと載ります。
出入り口ドアのガラス部は切り抜いてクリアプラ板に置き換えました。
天井照明窓の設置
キットでは写真の黄色で示したエリアの天井部は屋上天窓屋根から筒抜け状態です。
館内の写真では乳白色の磨りガラス(アクリル?)による天井照明窓のようになっていますがキットでは再現されていません。
ここは天井裏に照明ギャラリーと同じく自作の磨りガラスパーツを設置することにします。
外壁大型窓から覗いた天井に並ぶ照明窓の見え方です。
屋上花壇
開館当時散策が出来た本館の屋上に並べられていた花壇。
このキットでは屋上床にその印刷があるだけなのでスチレンボードと芝生マットでそれなりに準備してみました。
オリジナルの屋上にはモデュロールのような寸法変調された花壇が一辺に4つ置かれているように印刷されています。
一方で美術館開業当時の空撮写真やその設計図では一辺7つの単一寸法花壇が置かれています。
ただしこのキットは実現されなかった幻の講堂がセットされた初期設計図No.5401を参考にしたものとされ、これには屋上にキット通りの花壇配置が記されています。
開館当時の美術館本館はこのNo.5401とほぼ同一で単に左翼の講堂とその接続部分のみ変更となっているようです。
よって花壇はどちらでもOKと言うことでしょう。
まあ隣接した幻の講堂(外観形態のみの再現ですが)を併設して仕上げるならオリジナル通りとしましょうか。
開業当時の配置(空撮写真を参考に)
No.5401図面に記載の配置
第6回 幻の講堂と外部テラスの取り付け
設計図では美術館本館に隣接して建てられる予定だった講堂。このキットはその外観形状のみを再現した単なる箱を置くようになっています(工程10)。
今回、当時の設計図からその内部構造を推察して立体化してみました。
採寸
まず設計時の縦断面図と各階層の水平面図から講堂2階の客席、舞台や天井の照明技術室等の配置を理解しました。
次いで同じ小さな設計図資料から各部の寸法を読み取り、変換してキットのパーツにそれらを記載してみました。
これを基にプラ棒やスチレンボードを切り出しています。
一番の留意点は図面から換算されるモデル内の柱のスパンは47mmなのですが美術館本館モデルが43mm間隔で立てられていますのでこちらもそれで合わせました。
括弧内数値は図面通りスパン47mmを採用する場合です(クリック拡大可能)。
柱は本館と同じく3mm径のプラ棒、床は2mmのスチレンボードを使用しています。
舞台と観客席
図面では本館のコンクリート柱と同じスパンで配置され、スロープ状観客席と前部ステージを支持していた6本の柱を本館の柱配置の延長上に置くようにして内部をスチレンボードで作りました。これを講堂内にセットするだけです。
ただし写真右手の横壁側の3本は貫通柱で、天井まで伸びていますので後で修正します。
スロープ状観客席の角度は本来天井と平行で当初そのようにしていたのですがステージ部の固定位置が微妙に低すぎたのか少し歪んでしまいました。
キットオリジナルの講堂の壁には一部切り抜きを設けてクリアフィルムを貼り、中が見えるようにしています。
前方のステージ(65x20x5mm)です。舞台の高さは少し高めにしてしまいました。
図面からすると2mm程度のスチレンボードの高さだった様です。
外壁
講堂がもし完成していたらたぶん外壁は美術館本館と同じモデュロールパネルで埋め尽くされていたでしょうね。
この辺りは何を言っても推測の域を出ませんから今回は厚手の砂地模様の模型用外壁壁紙を重ね張りしています。
手前のみ側壁部だけ扉のように開くようにしました。
調整室への螺旋階段
講堂の照明や映像等の調整をする制御室へはどうも外部に設けられた螺旋階段で上がるようになっていたようです。
その構造(円筒型のクローズ構造だったのかオープン構造だったのか)や登り口はどこに設置されていたのか等の詳細は不明ですが手持ちの図面から読み取れるのはキット上の寸法で10mmの円筒外付け型螺旋階段だったことだけです。
技術室への接続通路は階段径の半分の厚み5mmのスチレンボードで。
ここはイマジネーションを膨らまして(笑)こんな感じに仕上げてみました。
外階段とテラスの取り付け
(工程⑪、⑫)
手すりをクリアシートパーツに置き換え2つの外付け階段部を作製・設置します。
これで取り敢えず建屋は完成となりました。
さて後はゆっくりと展示彫刻作品類や美術館に来た人達を作って置いていきましょうか.........
最終回 彫像類を置いてみた....
開業当時は正面ピローの壁際等に置かれたいた彫像も含めて19世紀ホールにもNゲージフィギュアで模した彫像類を当時の写真を参考に置いてみました。
入り口付近
ピロー下に置かれた彫像類
19世紀ホール内を望む
(くそ、焦点が合わん)
来年は西洋美術館誕生60周年と言うことで新春にル・コルビジェ展の開催が予定されています。コルビジェが関わった建築群やデザイン等の資料展示を中心にした企画のようで楽しみですね。
2019.02.19の初日に行ってきました。
当日小雨交じりの天候だったせいもあってか館内入場者は少なめでゆったりと観覧できました。
一階の19世紀ホールに展示された建築模型のみ写真撮影が許可されています。
後は本館2階の回廊にサボア邸のモデル(残念ながら2階での撮影は一切ご法度です)やキュビズムの絵画作品に交じって多くのコルビジェ自身が描いた絵画も展示されています。
ただこれだけで1,600円の入館料は厳しいと考えたのか(笑)二階回廊から新館の常設展示スペースへそのまま入館・鑑賞できます。
常設展示の鑑賞も一通り終わり、出口を出るとそこはレストラン睡蓮の入り口横。
ここでコルビジェ縁の期間限定特別メニューや睡蓮特製のオムライスを食べて至福の時を過ごしてから会計をすれば出口はミュージアムショップです。
ショップでペーパーモデルキットや正面出入り口近くで公式カタログを買って退出するという動線の設定も考え抜かれていますね。
とは言え時間がなければ常設展示鑑賞やレストラン入店もパスできますから問題ありません。改めてこの美術館の自由で無駄のない館内配置に感心させられて帰宅の途に就きました(褒めすぎかな)。