電動昇降ランプのリアル化改造

可動が確認されて安堵した電動昇降タラップですが、巷ではモーター駆動系の問題でランプが下がりきらないという噂もちらほら(ランプ昇降用のラック&ピニオン機構のリニアラックが短め?.......)。

 

さてさて、最近3Dプリンター出力アイテムを取り揃えているShapewaysのshopでこの昇降ランプ室の内部と連絡通路まで作り込むことができる置換えパーツ群がリリースされているのを見つけました。

オリジナルの状態で無事稼働を確認したときは「やった!」とばかりに満足していたのですが、やはり覗き込むと少し興ざめする現状のタラップ廻りを何とかできるかチャレンジしてみました。

 


組立説明書のダウンロード

Dynamic Details and Designsという3Dデザイナーブランドからリリースされている「RAMP MOD KIT」。

購入しなくてもパーツ類とその作業手順を記した33ページのマニュアルの無償ダウンロードに加えて各工程作業の解説ムービーもYou-Tubeで用意されています。

まず購入を決める前にマニュアルに目を通して自身のスキルで対応できるか確認しました。

インチベースでの加工指示やオリジナルの船体フレームを大きく切除する作業などちょっと難しい部分もありましたが根性で何とかできそうな内容と判断しパーツ群の出力を発注しました。

このキットのポイントは上の3Dイラストからも分かるように

①ランプのピボット部を金属ヒンジから弾性平面シートに置き換える

➁タラップルーム(側壁、屋根)と円形連絡通路(一部)を再現

③実物大の撮影セットと同じ6本油圧シリンダー仕様に変更

④モーターをタラップルームの上に移動

⑤上下マイクロスイッチリミッターを長い油圧ブームの上下機構にリンク

といったアイデア満載のキットです。

ランプヒンジ部や上下機構の強度に若干気がかりな点も残りますがリアルさはオリジナルのものに比較して格段にアップしそうですね。

もともと構成パーツを段階的にリリースしてきたようですが、幾つかのパーツを一つにまとめたものと、最近では全パーツを一つにまとめ50$以上もお得になるセットがありましたので後者をセレクトし、到着を待ちました。

数日後に発送が遅れそうだというお詫びのメールが届き、さらにその翌日にはうまく出力できないので受注はキャンセルとしますというお詫びが........。

それとともにこの一式セットが直ちにリスト落ちになりました。

仕方がないので前者の部分パーツセット3種の組み合わせで再発注です。

 

 

届いたキット

Shapewaysから届いたパーツ一式です。

塗装が必要となるランプルームと連絡通路のパーツはまずナイロンプライマーを塗布し、乾燥後にMr.ベースホワイト1000を吹きました。

ランプベイルーム、連絡通路構成パーツ群

 

 

新モーターマウントベースやランプ上下機構



船体フレームの改造

作業1不要フレームの切除

最初から難関です。

オリジナルのフレーム構造から不要となる部分を切除します。

マニュアルを参考に切り取る部分を黒マジックで塗ってみました。

電動ルーターにダイヤモンド丸鋸刃を付けて根気よく切除、切除.....

 

このようにほぼ研磨も不要な程度に綺麗に切除ができました。

(写真の中心方向が上の写真と逆になっています)

 

 

 

 

 

 

 

作業2:フレームの補強

次いでフレームの大幅切除によってフリーになってしまった砲台根元部のフレームを補強します。

1.5㎜径のドリルでまず一か所貫通孔を開け、オリジナルパーツの2個穴固定具(切除したフレーム部分から4つほど回収できます)を1.7/4.0㎜のねじでフレームにねじ切るように締め上げながらまず固定。

残り片方の穴にもう一つドリルで開孔してこちらも同じネジで締め上げます。

 

 


ランプ上下動用モーターとヒンジの改造

作業3:電動モーターの加工

モーターボックスにねじ止めされた2つのリミッターマイクロスイッチに上下別の印(タグ)を付けてから取り外します。この上下位置のタグは単にモーター部の上下を意味しているだけでタラップの昇降方向ではないようです。

取付けねじは無くさないように保管しておきます。

次にモータ―ボックスを開けて、

モーター、ギア機構、ピニオンラックを順次取り外します。

ギアを外していく前に順序のマーク等をしておくと後で戻すときに便利です。

 

 

 

 

 

今回は置換えパーツの新規ピニオンラックの保持用支柱の取り付け加工をします。

ボックス隅の指定位置に穴をあけて支柱パーツと外側から差し込む支柱固定ピンを取り付けるだけなのですが、この位置や穴の径がインチ表示のため、ミリ換算して一番近い数値に解釈し直しまず。

ケース外縁から10mm/5mmの位置に2.3~2.5φの穴をあけています。


交換新ラック、ピニオンギア機構、モーターと先とは逆手順に再度取り付けていきますがラックとギアにはプラ用のシリコングリース等を塗布しておきます。

ここで一番ギアを回して新規リニアラックがちゃんと上下にスライドしていくかを確認しましょう。

リニアラックの位置はなるべく巻き上げた位置にセットしておくとよいでしょう。

モーター部が再度復元できましたらモーター端子とリード線のはんだ部を保護するために再度プラタイ等でリード線を固定しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

作業4 

Low Profile Sheet Hingeの接着

プラ製の薄厚シートヒンジの前後・裏表(レタリングされた面が下面:切り込みが下向き)を間違えないように船体と可動ランプを繋ぐように接着します。

現段階では自重でランプが多少下がります。

 

プラヒンジも床面と同色で塗装しておきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ランプハウスの製作と船体フレームへの装着

作業5

パーツ塗装(下地調整)

昇降ランプルームや接続連絡通路を構成するパーツ類はナイロンプライマーを塗布乾燥後にベースホワイト(サーフェーサー)を重ねて塗布しておきます。

 

 

 

 

 

パーツ塗装(本塗装)

その後必要な本塗装を行います。

天井パネルの内側には一部ディテールアップのパーツを追加してあります。

 

 

 

 

 

 

 

パーツの組み上げ

組上げると内部はこんな感じです。

天井中央の切り欠きはDeAGOのオリジナルLED照明を取り付ける部分になります。

屋根はモーターボックスの取り付けまでは仮固定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレームにはこのような形でセットします。

フレームとの固定は通路側に新設する油圧ジャッキとオリジナルの中間部(短い)ジャッキのサポート支柱背面を接着面として計4か所でこのハウス部を固定するとともに最前部をパテで固定しろとあります。

 

 

 

 

 

ちょっとひと工夫

実はこのキットでもランプと連絡通路の段差に加え、ランプ部が下降すると根元のヒンジ部の空間が目立ちます。

そこで何らかの目隠し的な内部スロープを付加して2重スロープ構造にしてみることに。

あまり複雑な機構はつけられませんので今回は絨毯状のテキスタイルがタラップに敷かれているような映画プロップ写真があったとの記憶から、柔軟性、厚みと重さが適当な布地を探していたところ灯台下暗し、研磨用柔軟クロス「Mr.ラプロス」の#2400/4000が表面の色合いと風合い、重さや柔軟性から適当と思い、22㎜幅に切り出して通路との接続部に挟み込み前垂れのようにおいてみました。

 

また連絡通路の床両脇のスロットからの床下間接照明も再現できますね。

 

こんな感じで段差隠しにはなりました。残念ながらもう少し長めにしておくか、裏に薄いプラ板を張り込んでおけばよかったといまさらながら後悔しています。

 

さてさて、次回は改良型電動昇降機構の実装です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ボーディングランプ上下機構の実装

作業6 モータボックスの取り付け

屋根上に取り付け架台を介して先に加工済みのモーターボックスを接着・ねじ固定します。マニュアルにも注意書きがありますがネジはあまり締めすぎないように。

 

 

 

 

 

 

作業7 ランプ上下機構の組立実装

新規油圧シリンダー機構にモーターのリニアラックの上下動ラック先端をリンクさせ、その作動停止を伝える位置検出用のマイクロスイッチを移設します。

 

 

 

 

 

①まず2本の金属シャフトに連動アームを接着固定します。

 

➁ブルーの円の連結ピンでランプを適度な位置まで開き、リニアラック端部と上下動連動アームを繋ぎます。

 

③マイクロスイッチを取り付けるアーム(赤い四角囲み)はスライドさせて検出位置を微調整できるようになっており、開閉テスト完了まで接着しません。ただしスライド部の凹・凸部がタイトで少ししか入りませんので無理に入れようとせずにアーム部の厚みや凸部をヤスリで少しづつ薄くしながらアジャストしてやる必要がありました。

 

④マイクロスイッチを長・短2本のL字アームに取り付けますが取り付け穴の片方(黄色の突起押し込み用)が狭いので少しヤスリで広げておくとねじ止めしやすいと思います。間違ってもねじを立てる方の穴を広げないようにご注意を。

 

⑤マイクロスイッチは指定通り長いアームの方にBottomタグをつけた方を、短い方にTopのものを固定します。

 

これでランプ上下機構も準備完了です。

 

 

作業8 ランプ上下停止位置の調整

後は電源Boxと電源スイッチをオンにして制御回路上のボタンAを押してランプが稼働するすることとを確認してから上下位置のアジャストをします。

ランプ格納時の最上位置は本体とランプが当たったところで固定するしかありませんが赤丸で示したランプ下降位置は金属シャフトの頭ギリギリまで調整できます。

 

 

 

 

 

もし着陸脚を装着した後、これでも下降しきったランプが地面に着かなければ、あとは油圧シリンダパーツに差し込んだ金属シャフトを一度引き抜き、今度はあまり奥まで挿入せず接着固定して可動スパンを稼ぐしかありませんね。

 

 

 

むき出しの金属フレームは白く塗った方がいいですね。

 

 

 

 

 

 

ランプ降下後の状況です。

やはり連絡通路内が暗めですね。

床照明か壁面にスコンセスをつけましょうか?

 

 



スコンセスの追加

セットではボーディングランプ前の通路壁には壁の区画毎に一つずつのスコンセスがついているようです。

Palagrafixのブラスエッチングで製作したものが5~6個残ってましたので流用してみました。

 

 

 

 

スコンセス点灯

光源は3mm砲弾型の白色LED(6~12V駆動型)です。

連絡通路内やボーディングデッキ先端までが明るくなりました。

 


 

残念ながら現在ShapewaysのShopではこのキットに関する一切のパーツがリスト落ちしている様子。どうしたのでしょうか.......。

出来の良いディテールアップキットなので再販されると良いですね。

 

2017.07.15追記

デザイナーさんはお店を完全に閉めてしまったようです。

この「MOD kit」を今も追い求めている方がいるらしく、版権・デ-タを譲ったのか個人的に100キット限定で販売をするという別人デザイナーのアクセス先が6日前のデザイナーコミュニティーに記載されていました。

当館はアクセスしていませんので詳細は不明ですがご興味のある方は以下のアクセス先をご参考までに掲載させていただきます。

 

https://www.facebook.com/groups/667214673428020/permalink/859783344171151/?hc_location=ufi